ありふれた職業で世界堪能 2
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いない人にまでこれを向けて、何も疑問に思わなくなるかもしれないことが、それが怖い」
「ん、それなら大丈夫」
「何故そう言い切れる!!オレは、オレは変わった!!変わってしまった!!変わらないものなんて存在しない!!」
「私と香織がいる」
ハジメの本当の悩みがそれでよかった。そんな悩みなら恐る必要なんてない。
「私たちがずっとそばにいる。間違ってたら止める。だから、悩む必要なんてない。怖がる必要なんてない」
ハジメを抱きしめて言い聞かせる。
「三人なら間違えない。三人で殺さないといけないと思ったのなら、それは本当に殺さないといけない相手。殺す必要性がなければドンナーを使わなければいい。それだけのこと」
私の言葉にハジメがきょとんとしている。
「不安に思うのは分かる。でも、大丈夫。ハジメが怖がる未来は絶対に来ない」
「……うん」
ハジメからも抱きしめられ、そのまま眠りに落ちてしまう。今までの緊張がなくなったからだろう。ベッドに倒れこみ一緒に寝る体勢に入る。香織も背中側から抱きしめるようにして寝る。私たちならなんだってできるはずだ。
明け方に近い時間にハジメ達が畑にやってきた。顔を見る限り、立ち直ったようでなによりだ。
「おはよう、腕は残念だったな」
「ああ、そうだな。まっ、格好良い義手でも作るさ。ギミックたっぷりなのをな」
緊張もなく義手の話が出来るか。良い傾向だ。ユーモアも出てきた。覚悟が決まった良い目だ。
「それで、どうしたんだ?」
「……ユエから聞いた。生まれと育ちが特殊だって。それにオレの悩みとかが分かっていた、まるで慣れているかのようだって」
「慣れているわけじゃないさ。なんとなく分かっただけだ。でだ、生まれと育ちは、まあ、向こうに居た頃じゃあ言ってもジョークにしか聞こえなかっただろう。あまり言いふらさないでいてくれると助かる」
「ああ、約束する」
「私もだよ」
「ん、約束」
即答する三人に儂も鍬を置いて姿勢を正して名乗り上げる。やりたくもないが、理解させるには分かりやすい踵を揃え右手を斜め上に伸ばす敬礼を見せる。
「儂の本来の名は被験体710号、ざっくり言えば生まれ方はキラ・ヤマトで、育ちはヒイロ・ユイで、運用はエクステンデッド。見ての通りの所属だった使い捨ての道具だ」
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