ありふれた職業で世界堪能 2
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「出来るだけ頑張ったが、流石に丸々生えるかどうかはわからない。結果がどうであれ気に病むな」
そこまで念押しされると気になる。とりあえず一気に口に含んで噛んで飲み込む。ピーナッツから油分を取り除いたみたいな味だ。そして、体のあちこちが治っている感じはするが、腕は生えてこなかった。同時にトイレに走る。
「ちっ、やはりか」
「徹君、ハジメ君が!!」
「PTSDだ。以前の自分と今の自分の間で安定していたのが今ので均衡を崩した。ある程度は持ち直させるが、最後は女に任せるのが一番だと先輩が言っていた。支えてやれ。あいつは日常を求めてる」
慌ててはいないが、早足で徹がハジメのもとに向かう。
「香織、PTSDって?」
「心的外傷後ストレス障害、分かりやすく言うとトラウマが近いかな?私もはっきりとは言えないけど、徹君の話を聞く限り、ハジメ君は昔の日常を取り戻したい。だけど、その日常に自分は相応しくないって思い込んで、だけど戻りたい。あとは堂々巡りで心が耐えられなくなったんだと思う」
「何故戻れない?」
「う〜ん、私はハジメ君とは違うから間違ってるかもしれないけど、私達の元いたところはね、本当に平和なの。魔物だって居ないし、武器を持っている人だって居ないし、そもそも携帯することが許されない。それでもたまに事件は起こるけど、何処か遠い感じかな。魔物とはいえ、生き物を殺すのはこっちに来て初めて、徹君は家畜を潰してるかもしれないけど。それぐらいなの。だから、腕を欠損している人だってほとんど居ない。事故なら周りも納得するし、ハジメ君だって納得できたはず。だけど、魔物に食べられただなんて信じてもらえない。そのあたりだと私は思ってるよ」
香織の説明にある程度納得する。昔、そういう子が居たのを覚えている。魔物を殺すことを拒否していたはず。うん?魔物をペットにしていたのだったっけ?とりあえずその子が急に連れ去られて魔物を殺すことを強制されて、また元の環境に戻される。元の環境に馴染めるはずもない。馴染めはしないけど、少し立ち位置が変わるだけではないのだろうか?たぶん、香織も多少勘違いしている。私も香織もハジメじゃない。だからハジメに直接聞くしかないのだろう。
ハジメが徹に肩を借りて部屋へと戻っていく。追いかけようとしたら徹に視線で止められる。ハジメを部屋に戻した徹がこっちにやってくる。
「結構消耗が激しいな。中途半端に倫理観が残っているせいで苦しんでる。救助がもう少し早かったか、遅ければ変わったんだろうな」
「徹は、なぜ問題ない?」
「うん?儂は、あれだ、生まれと育ちが特殊すぎたからな。詳しく打ち明けるのはハジメが最初と決めておるから今はそれで納得して欲しい」
前半は顔をそらしな
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