ありふれた職業で世界堪能 2
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あり、その上に大皿に乗った麻婆豆腐と夏野菜の炒めもの、そして別皿に真っ赤に染まった麻婆豆腐が刺激臭を撒き散らしていた。鋭敏になった感覚がそれを捉え部屋に入っただけで咳き込んでしまった。香織とユエも咳き込む。
「どうかしたのか?」
どうやって調達したのかは知らないが、田舎のばあちゃんみたいに三角巾と割烹着を付けた徹が赤黒い何かを持ってきて更に咳き込む羽目になった。徹には申し訳なかったが別の部屋で食べて貰うことになった。食後に話を聞けば、今の畑は2回目で1回目は香辛料ばかり栽培したそうだ。乾燥が必要なものが多いからだそうだが、普通の唐辛子より世界一辛いブート・ジョロキアの方が圧倒的に多いのはどうなんだ?他にも刺激が強力なものばかり。個人使用するだけだから気にするな?確かに皿は別にしていたけど、部屋にこもる時点でアウト。残念だが控えてくれると助かる。
「嗜好品だから問題無い。精々一ヶ月に一度程度だ」
次の日からは同じ料理を作っているが、田舎のじいちゃんとばあちゃんを巧みに使い分けてやがるな。ネギの丸焼きは美味かった。ネギをただ焚き火に突っ込んだだけなのに表面だけ黒焦げにして一皮剥けば絶品だった。あと、米って水田じゃなくても育つんだな。初めて知った。陸作でも収穫量的には大して違いがないらしい。連作障害があるからそこだけは注意と。
それから暫くの間、朝は農作業、昼は魔獣狩りと素材の確保、夕方から夜にかけて錬成で全員分の装備を整え、夜は色々と絞られて啜られる。壁が厚い上にユエが防音の結界を張れるので徹を気にせず襲われた。徹は気づいているが何も言わずに生贄に捧げた。精の付く香辛料を仕込んできたから間違いない。
「いや、仙豆はどうした!!」
「ちっ、気づいたか」
「やっぱり確信犯だったか!!」
「必要なことだったと儂は今でも思っている。香織とユエも賛同したからな。多数決で儂らの勝ちだ」
くっ、この人数で多数決は汚いだろう。声に出して批判したいが香織とユエが迷惑だった?という目でこっちを見てくる。くそぅ、あの目には勝てない。
「まあいい、仙豆はそこそこの数が実った。もうしばらく増やしたいが、そろそろ実験するか」
試し方は酷かった。いきなり徹が猟銃で自分の腹を撃ち抜き、仙豆を食べる。全員でドン引きした。いきなり過ぎたって所と、漫画のように一瞬で再生する所に。
「すごい再生力だな。代わりに目茶苦茶腹が減る。仙豆の満腹になる機能って再生能力のあまりなんだな」
劣を取り出して2粒程口にする。1粒で一日何も食わなくていい劣を2粒、つまり失敗作かよ。
「神水みたいに水薬にすればいいだけだ。無論、改良と量産は続けるけどな。とりあえず、ほれ」
仙豆と劣の3粒を渡される。それから義手を外された。
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