ありふれた職業で世界堪能 2
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んで毒を流し込む。毒持ちの動物の中には自分の毒が効く奴がいる。眼の前の蠍もその一種だ。だが、毒の量が足りなかったのか死んでいない。それでも動きは鈍っている。振り落とされないように踏ん張りながら鋏と足を鋤で削ぎ落とし、うろ覚えの蠍の脳みその位置に鋤を叩き込み続ける。
「ええいっ、まだ死なんか!!ハジメ、手動のドリルを作れ!!こいつだけは許さん!!」
「いや、ええ〜、ちょっとドン引きというか、作るけどさぁ」
ハジメがぶつくさと言いながらも手動のドリルを作って投げ渡してくれた。隣に見たことのない女の子が居る気がするが今はこの蠍が先決だ。
「くそっ、硬いなこいつ!!だが負けん!!」
5分ほどの格闘の末にようやく蠍が完全に動かなくなった。それでも油断せずに横からひっくり返してみればまだ動く。死んだふりをしていた蠍に今度こそとどめを刺す。死体をすかさず部屋から投げ捨てて汚染された土壌も除去する。汚染が表面上だけで助かったぜ。
これで栽培が出来るとハジメ達に説明しようとした所でハジメの後ろに隠れるように見覚えのない女の子が居た。
「ハジメ、その子は誰で何故隠れている?」
「徹のいきなりの奇行に驚いてるんだよ。部屋に入るなりに床の一部を引っ剥がして耕して土を口に含んで、いきなり現れた蠍に恐ろしい勢いで突撃したと思ったらバラバラに解体するわ。奇行と言わずに何と言う?」
「農家にとっては普通だと思うんだがな」
「そんな農家聞いたことないよ」
白崎が突っ込むが、畑を荒らされれば農家はキレる。普通のことだ。
「まあいい、そっちは任せる。儂はしばらくこの部屋を離れんぞ」
「なんでだよ」
「土いじりの禁断症状だ。しばらく土いじりをして精神を安定させねば。あと、仙豆が作れそう」
「禁断症状に突っ込みたいけど仙豆が作れるのか!?」
「品種改良に神水を全部使うことになるだろうが、ここなら出来る。腕が生え治るかは分からんが、最低でも神水と同じレベルの物をどこでも量産できるように種豆を作る。だから前の拠点で待っていろ」
鍋などの調理道具と食料などを全て渡して部屋から放り出す。
「24時間、絶対に開けるなよ。開けたら公開する羽目になると宣言しておく」
そう言ってから扉を閉める。あの程度のことで奇行と言われたらこれからの作業は見せられない。さて、とりあえず開拓しようか。
徹に追い出されてしまったので仕方なくユエを連れて上の階層にある拠点に戻る。渡された荷物は全部オレが担いでいるけど、バランスが悪くて結構キツイ。
「ハジメ君、大丈夫?」
「ちょっと積み方を変えたほうがいいかもしれん。ちょっと重心が右になるように動かしてくれ」
香織に担いでいる荷物
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ