純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 25
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女の姿をしていたと言われた時……アーレストに掴まれた女性の腕の感触を思い出して、連想してしまったんです」
「? 何を?」
「……貴女の、感触を」
垂れ下がっていた右手が、私の頬を遠慮がちにそろりと撫でる。
触れるか触れないかの熱が産毛の先をそわそわとなぞる所為で、微妙に擽ったい。
「べゼドラが私の体に刻んでいった貴女の感触を、私は心地好いと感じてしまっていた。今もまだ、罪悪感と一緒に残っています。此処に貴女の気持ちなど、込められている訳もないのに」
クロスツェルの目に映ってる私の輪郭が、ぼんやり滲んで僅かに歪む。
下がった眉尻が捨てられた仔犬みたいだ。情けないなんてものじゃない。
「なんだ。お前、そんな事で落ち込んでたのかよ。それこそ今更じゃんか」
「今更です。それでも、想いでは決して消せない過ちです」
「当たり前だろ。そんなもんで簡単に消されて堪るかよ。こっちは冗談抜きで心底気持ち悪かったんだからな。「理由があったから」なんて言い訳で都合良く感情の上塗りをしようなんざ、この先何があっても絶対一生許してやらない。死んでも許すもんか。好い気味だ。もっともっと私の気持ちを考えて苦しめ、バーカ。」
「……はい」
お。
よしよし、やっと笑った。
ちょっとずつ戻って来てんな。
まったく、根暗の相手は疲れるわー。
「…………ずっと……考えないように、わざと意識から外していた事があるんです」
「うん?」
「「ロザリア」は、死にませんよね?」
「………………………………」
「……ロザリア?」
「……………………トゲトゲ」
「え?」
真っ直ぐに問い掛ける金色の眼差しが、私の心臓を刺す棘みたいだ。
コイツは本当に……時々無自覚で容赦が無い。
だからこそ、互いを傷付け合うこの距離が、現代社会を歪めた女神に相応しい罰なんだけどな。
「……なんでもない。心配せんでも、お前よりは遥かに長生きだっての」
「わぷ」
子供を宥めすかすように頭を抱え込んで、真っ黒艶々な髪を撫でる。
慌てて宙を掻いたクロスツェルの両手が次第に高度を下げて、やがてポトリと床に落ちた。
胸の辺りがじんわり濡れて熱くなってるけど、暫くはこのまま動かさないでいよう。
情けない顔なんて、コイツも私も、見られたくないだろうしな。
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「……お恥ずかしい所を見せてしまいました」
「ああ、そうだな。おかげで膝が痛い」
「すみません」
もぞもぞと動き出したクロスツェルを解放して立ち上がったら、膝から足首までがズキンズキンと痛みを訴え始めた。
血行が悪くなってんのかな。そんなに長い時間固まってた
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