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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 25
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の配慮があったとは言え、とうとう人間らしからぬ家庭環境を受け入れてしまったのかと密かに落ち込んでたんだけどな!
 コイツがグダグダになってる姿を見せられ続けてると、自分を慰めてる暇も無いんだよ! ったく!
 「……そうですよね……私が変態なばかりに、貴女は……」
 「うわあ、全ッ然聴いちゃいねぇ。その(ツラ)、無性に張り倒したい」
 「どうぞ、思う存分殴ってください。そういう約束もしていましたし」
 「知ってるか? 芯が通ってない、支えが無い物を殴り付けても、本来戻って来るべき抵抗感が殆ど無いんだ。勢いが物体を突き抜けて、所謂(いわゆる)空振り状態になる。苛立ちをぶつけたいのに手応えが感じられないと、殴りたいと思ってたほうは余計に腹が立つんだよ。今のお前をぶっ叩いても、私には何の得も無ぇどころか、拳の振り上げ損だって話だ。解るか? なあ?」
 「……お役に立てず、申し訳ない」
 「ぬああああああもおおおおおおっ!!」
 うじうじうじうじ、うざってぇぇええ!
 「クロスツェル!」
 「!?」
 ぐでぐで野郎の真ん前で両膝を突き、俯く莫迦の顔を両手で挟み込んで持ち上げる。
 正面に見据えた金色の目が、驚きで真ん丸になった。
 「私は「誰」だ!」
 「……ロザリアです」
 「なら、私は「何」だ!?」
 「……? ロザリアは、ロザリアです」
 「ふーん。ちなみにだが、私は男にもなれる可能性があるらしいぞ?」
 「え」
 「そりゃそうだろう。私は「あの」レゾネクトの血を継いでんだぜ? まぁ、私自身あんまり実感は無いんだけど……この体が人間じゃないって事だけは確かなんだ。性別なんざ思い通りの変幻自在。年齢もきっと、赤子から老人まで自由自在に操れる。お前、それでも私はロザリアだと言えるか? 男の姿の私や老人姿の私にも、愛してるーとか言い切れるのかよ?」
 「ロザリアはロザリアです。私にとっては、それだけで良い」
 「お前自身は、自分が女だったら嫌だなーとか思ってるクセに?」
 「…………。」
 「クソつまらん悩みでいつまでも(コケ)生やしてんじゃねーよ、莫迦。私が何であれ私だって言うなら、お前だってどんなお前でもお前だろ! 女装しようが女になろうが真正のド変態だろうが、んなモンは否定したって今更消せやしないし、変われもしない。全部お前だ! 全部がお前なんだって認めろ! 認めた上で、全部のお前で私と向き合ってみせろ!」
 金の両目に映る自分の顔が凶悪だ。怒りに満ちて、今にも噛み付くぞと言わんばかり。
 此処までしてもまだ落ち込んだままでいるつもりなら、マジで噛み付いてやろうか。
 「…………私が変態なのは、女性の姿を借りていた自分に気付いていなかったから、だけではありません」
 「ん?」
 「貴女にレゾネクトの体が
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