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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 25
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の死人っぷり。
 なんだなんだ何事なんだと騒ぐ私とリーシェの横で冷静に成り行きを観察してたソレスタによれば、
 「そいつは恐らく、心的外傷後ストレス障害ってヤツだな」
 「心的……なんだ、それ?」
 「簡単に言うと、過去の体験で心に深い傷を負った奴が、何かの切っ掛けでその体験を思い出して塞ぎ込むなりなんなりしちまう症状だ。つまり、状況的に考えると……」
 「考えると?」

 「クロスツェル君は、レゾネクトの女姿を借りていた事実にたった今気が付いて、激しく落ち込んでいる!」

 らしい。
 「……コイツ自身も知らなかったのか……」
 中央教会(ここ)でクロスツェルと感覚を繋げた時のレゾネクトは、私が目を覚ました時と変わらず五歳になるかならないかくらいの幼児姿だった。
 なのに向こうの教会では何故か大人の女の姿になっていて、しかも、クロスツェルが自分の体に戻るまで……私に言われるまで、全然気が付いてなかった。
 どうやらそれがコイツの古傷を抉ったようだ。
 「事前に聞いてなかった、知らなかったからこそ、こんな話題で落ち込んだんだろ? 他人の体と感覚を共有するって理窟は体験してみないと解らないが、自分の意思で動かしてる体がいつの間にか性転換してたってのに、指摘されるまで些細な違和感も覚えなかった……とか、そりゃ女装を強要されてた人間(おとこ)としては自己嫌悪の極致だわな」
 女装だけでも相当な抵抗感があった筈なのに、実際は女の体になってても全く気付いていなかった。自分はいったい何なのか……。
 で、こうなった、と。
 「え!? クロスツェルさん、女装させられてたんですか!? まさか、プリシラ様に!?」
 偶々(たまたま)一時的に戻って来てたミートリッテが、ローテーブルの下で放心状態になってるクロスツェルを凝視して声を荒げてたっけか。
 「そそ。次期大司教殿恒例のお仕置きで、クロスツェル君とアーレストが、な。中央教会に住む金と黒の美人踊り子二人組って言えば、当時の王宮でも結構有名だったぞ。好色な商人に目を付けられてるって噂もあったほどだ」
 「あぁー……あの話って、クロスツェルさんの事だったんですね……。お気の毒に……」
 眉間に皺を寄せつつ悲し気な表情で両手を合わせて拝んでたけど、唇の端が薄っすら持ち上がってた所為か、本気で憐れんでるようには見えんかったな。



 「つぅか、そろそろ目ぇ覚ませ、莫迦クロスツェル! 丸一日以上うだうだうだうだと延々呆けやがって! 女になってたのはお前の体じゃなくて、莫迦親父(レゾネクト)の体だろうが! どっちかってーと、お前よりヤツの娘である私の心の傷のほうがデカい筈なんですけど!?」
 私も、仲裁に入ったその場じゃなくて時間が経ってから気付いた辺り、事前にプリシラとミートリッテ
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