イタリア料理
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美味しい物は、大好き。まあ、それは誰もが思うことだろうけど。
「…はあ…。」
気分が憂鬱なときは、美味しい物を食べるのが一番だ。
私の憂鬱の原因は、前日、私のスタンド、ブルー・ブルー・ローズが赤い茎の青いバラの花を家の天井裏に大量に保管していたことが発覚して、そのうち数十本を残り寿命1年状態だったお爺ちゃんにあげたことだ。
誰の物だったのかも分からない寿命を…、大切な家族のためにとはいえ勝手に使ってしまったこと…、それが私の気持ちを沈ませていた。
仗助も空条さんも、責任を背負いすぎるなって言ってくれたけど……。
スタンドが、自分自身の具現だと知った後じゃ、それも無理だって。
「おおい、元気ねぇな? どうしたよ?」
学校帰り、億泰君が私に話しかけてくれた。
「ん…。なんでもないよ。」
「そうっすか? メッチャ暗いけどよぉ。腹でも減ってんの?」
「ん……、そうだね。美味しい物…食べたいかも。」
「奢りやしょうか?」
「えっ? それは、悪いよ…。」
「へへ、5、6年は食っていけるだけの金はあんだ。へーきだってへーき!」
「おーくーやーす〜〜〜〜?」
「うげぇ! じょーすけぇ!?」
背後から来た仗助が億泰君の襟首をスタンドで掴んで引っ張り上げた。
「なに、俺の姉ちゃん口説いてやがんだ、あぁん!?」
「く、口説いてねぇって…! ただ、元気なさそうだからよぉ〜、心配しただけじゃねぇかさぁ!」
「はっ? 姉ちゃん…。」
「…仕方ないじゃない。」
そんな簡単に割り切れないよ。
「それより、億泰君離してあげて。」
私がそう言うと、仗助は億泰君を離した。
「ん?」
私は、ふと気づいた。
看板があったのだ。
イタリア料理屋さんの。
「あれ? こんなところに看板なんてあったっけ?」
「新しいじゃねぇか。出来たばっかなんじゃねぇの?」
「へ〜、ここから、100メートル…。って、この先って霊園だよね?」
「けどよぉ! こういう通な店って美味いかも知れないぜぇ?」
億泰君が言った。
「…気になるかも。」
「姉ちゃん…。金ねえだろ?」
「俺が奢ってやるよぉ!」
「おい、億泰!」
「別におめーの姉ちゃんに色目使ってるわけじゃねぇぜ、俺? ただよぉ、マジに元気なさそうだから元気になって欲しいだけだぜ?」
「…ありがと。」
「じゃ、決まりだな!」
「…だぁ! もう! 仕方なぇな! 俺も行くぜ!」
「仗助こそお金ないでしょ?」
「いいぜ、二人分ぐらい奢るぜ?」
「ごめんね。億泰君。」
「いいってことよ。」
億泰君は、ニカッと明るく笑う。
……彼のお父さんを
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