蘇る記憶
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私、東方ミナミには、4歳の頃の記憶がない。
無いと言っても、一部だけだけど。たぶん。
確か、仗助が病気で倒れた頃だったはず。なのにそんな大変な頃の記憶が無いなんておかしい。
その話をすると、お爺ちゃんも母さんも、辛そうにする。なので、一回だけ聞いたっきり聞かなくなった。
私は、あれから学校にも行かず、引きこもっていた。
私の様子が尋常じゃないのを察してくれた母さんもお爺ちゃんもソッとしておいてくれている。
近頃…、夢を見ます。
金色の髪の妖艶な男の顔は、影になって見えないけれど、牢屋の中にいる小さい頃の私に向かって何か言っている気がした。
その男の手には、頭蓋骨があった。
話の内容はほとんど思い出せないけれど……。
『………を、生き返らせるため、君の力を貸して欲しい。』
っと言われたような気がした。
そして、男は私に、肉で出来た種のような物を近づけようとした。そこで夢は終わる。
夢を見始めてから、起きていると頭がズキズキした。
まるで思い出せと言わんばかりに頭の内側を叩かれてるみたいだ。
私は、なにを忘れているんだろう?
思い出すことがまだあるの?
その時、ベットに座り込んでた私の膝の上に天井からポトッと赤い茎の青いバラの花が落ちてきた。
「ひっ!」
私にとっては、もはや恐怖の対象でしかないソレ。
気がつけば、部屋中に私のスタンドが張り巡らされていた。
青いバラの花があるということは、どこからか誰からか寿命を…奪ってきたということだ。
仗助から形兆という男が私のスタンドを分析して、そして杜王町中で、動物や人から寿命を奪っているのを目撃していたことを聞いた。
私のスタンドは、生と死を自在に操れるスタンド。
この世でもっとも優しいスタンドを持つ弟・仗助のスタンドとはまるで違う、“この世でもっとも不平等な力”だ。
アンジェロに殺されたお爺ちゃんを生き返らせたのも、私のスタンドだったんだ。
知らなかった。気づかなかった。私はなにも知らないまま……、“誰かの命を奪ってそれでお爺ちゃんを生き返らせたんだ”っと。
命が有限なのだとしたら、命を奪われた動物や人はどうなった…? 定められた死を回避したことが奇跡なのだとしたら、私の…私が知らずにやってきたことは……。
「ぁあああ…。」
私の記憶が蘇る。
あれは、学生服だろうか? それと異国の人だろうか? 犬だろうか?
二人と一匹に赤い茎の青いバラの花が一本ずつ入った。
そうだ。私は、あの時逃げたんだ。金色の男から。どうやって逃げたかなんて覚えてない。きっと私のスタンドが私を逃がしたんだ。
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