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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第023話 5日目・2月04日『桜の秘め事と志郎の想い』
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シロ」と礼儀正しいセイバーなら返すところだが今回は勝手が違う。
志郎の顔はとても可愛らしい笑顔なのだけど目から…目から感情が読み取れない!?
さすがのセイバーもその異変に気づき少しばかり絶句する。
「どうかしたの、セイバー? 固まってるよ? それにアーチャーも武装なんてしちゃって…」
「い、いえ。なんでもありませんよシロ」
「そ、そうだぞ衛宮志郎。ただ、そうだな―――そう、気分というものだ」
「そうなんだ。それなら仕方がないよね。もう少しで朝食ができるから少し待っててくれるかな」
「はい。わかりました………」
「うむ………」
志郎はニコニコと笑いながら料理を続けている。
だけど作られているものは朝とは思えないほど豪勢であったのが一番の謎であった。
「その、シロ? 私は朝からこのような食事にありつけるのは大変喜ばしい事なのですが………一体どうしたのですか?」
「え? それはたまたま作りたくなったからなの。セイバーは気にしなくても大丈夫だよ」
「………そうですか」
「衛宮志郎………本音はなんなのだ? 気分でこんなに朝から作るような数ではあるまい?」
アーチャーは意を決して志郎に聞いた。
すると志郎は少し表情を崩して、
「やっぱり気づくよね。ただね、間桐臓硯の事を考えたら少しむかっ腹と自身の無力さに気が立っちゃって………気づいたらこんなに作っていたの」
「そうか………」
それ以上アーチャーとセイバーは志郎に口を出すのは避けようと思った。
ただ、
「だが、君は今は一人ではない。セイバーにキャスター、凛にそして私が着いている。五体満足で救えるかは分からんが安心しろ………」
「―――ッ!」
アーチャーの励ましの言葉に志郎は少し耐えられなくなったのか何度か目元を擦った。
そして、
「うん。ありがとうアーチャー………」
「いや、感謝をされる事ではない。ただ溜め込むな。君が倒れたら心配するものが大勢いるのだからな」
「うん!」
それで志郎の表情がいつも通りの物に戻っていることに二人は安心していた。
「………でも、なんかアーチャーってよく覚えていないんだけど、どこか兄さんに似てるね………」
「「ッ!?」」
志郎の何気ない一言にセイバーとアーチャーは驚愕の表情をする。
「………? どうしたの、二人とも?」
アーチャーの正体を知らない志郎は不思議がっているが二人にしてみれば気が気でないところだった。
だが不思議がっているだけで気づかなかった志郎に毒気を抜かれたのか、
「………そろそろ藤村大河や間桐桜が来る頃だろう? 私は退散しているとしようか」
「あっ! 待ちなさいアーチャー!」
セイバーの言葉を振り切りアーチャーは霊体化して消えてしまった。
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