第四章
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「夜は面白くないお笑い芸人ばかり出てるし」
「うちの子達が好きだった夜のアニメとかなくなったし特撮だってな」
「なくなったわよね」
「相撲だってな」
実は雄馬はこちらも好きだったのだ。
「放送時間短くなってな」
「観るのなくなったわね」
「女房ドラマが面白くなくなったって言ってるな」
「あっ、そっちね」
ドラマの話をするとだった、真礼も納得した顔で頷いて述べた。
「同じ事務所の子ばかりよね」
「特に主役はな」
「だからね」
「何か同じ様なドラマばかりな気がするな」
「同じ事務所の子ばかりが主役だから」
どうしてもその事務所の色が出てしまってというのだ。
「面白くないわね」
「うちの孫達はアニメとか特撮をネットで観てるよ」
「そっちでなのね」
「会員に入ってスマホとかでな」
「そうなってるのね」
「ああ、本当にな」
それこそと言うのだった。
「変わったっていうかな」
「テレビが面白くなくなったわね」
「子供頃あんなに夢中だったのにな」
雄馬は姉にこれ以上はないまでに苦い顔で述べた。
「それがな」
「今はね」
「もう観なくてもな」
「そうしてよくなってきたみたいね」
「そうだよな、何で白黒で小さな画面で」
もっと言えば真空管だった。
「番組も少なかったのにな」
「昔の方がずっと面白かったのかしらね」
「カラーテレビになった頃なんか最高だったな」
「長い間そう思ってたわ」
「それがな」
「今は面白くなくなったわね」
「もうテレビなくてもな」
雄馬は遠い目になって言った。
「いいかもな」
「そうよね、昔京阪でテレビカーに乗って」
この私鉄の看板列車であった、電車に乗りながらテレビが観られるということで大人気であったのだ。
「凄くよかったのに」
「今じゃめいめいスマホで観られるしな」
「テレビカーもかたなしよね」
「もうテレビカーもないだろ」
京阪のそれもというのだ。
「流石にな」
「どうかしらね、けれどね」
「本当にテレビは、だよな」
「面白くなくなったわ」
「俺達から観てもな」
「テレビから離れる日が来るなんて」
子供の頃から若い頃を思い出してだ、真礼は思わず溜息をついた。
「チャンネルの取り合いだってしたのに」
「俺達でな」
「今じゃそれも全然ないし」
「するまでもないしな」
理由は簡単だ、観る様な番組がもうないからだ。
「本当に変わったな」
「テレビにこう思う時が来るなんてね」
「子供の頃は思いもしなかったさ」
「そうよね」
姉弟でしみじみとして話した、そしてかなりの高齢になっているがどちらも健在な両親のところに行ってもだった。
年老いた彼等もテレビを観ていなかった、テレビはあっても点けられていなかっ
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