第二章
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「僕は」
「全くだ」
「大きくなり過ぎよ」
「ここまで大きくなるとな」
「もう信じられないわ」
「信じられなくても」
ポールは今や自分から見て豆粒位の大きさになった両親に笑って言っ。
「ここまで大きくなったのは事実だからね」
「母さんの中で育ったというが」
「育ち過ぎよ」
両親はこう言うしかなかった、だが。
それでもだった、二人は我が子と共に幸せに暮らしていた。ポールはその中で青い牡牛のベイブと一緒にアメリカ中で樵をして暮らしていた。
この頃アメリカはまだ平でそれこそ山も谷もこれといった大きな川もなかった、だがその中でだ。
ポールはベイブが病気になり泣いた、それは両親も見ていて心配する程だった。
「おい、大丈夫だからな」
「ベイブはきっとよくなるわ」
「お薬飲ませたな」
「だったらもうね」
「そうだと思うけれどベイブが苦しんでいるのを見たら」
それでとだ、ポールは両親に言うのだった。
「悲しくてね。さっきも外で泣いて」
「どうなったんだ?」
「それだけ泣いたら」
家の中でも池の様になっている、両親はそのポールの涙を見つつ彼に尋ねた。
「何かあったのか」
「そうなのね」
「水溜まりが出来たんだ」
「涙の水溜まりか」
「そんなものが出来たんだね」
「そうなんだ、とにかく早くベイブが元気になって欲しいよ」
苦しみから立ち直って欲しいというのだ、やがてベイブは元気になったがこの時の水溜まりがグレートソルトレイクである。
ある日ポールはベイブと一緒にアリゾナで仕事をしていたがどうにも暑いのでベイブに対してこう尋ねた。
「涼しいところで仕事をしたくないかい?」
「そうだね」
ベイブはポールのその言葉に頷いた。
「今日のアリゾナは暑いからね」
「じゃあ何処に行こうか」
「カリフォルニアはどうかな」
ベイブが勧めたのはこの場所だった。
「あそこは」
「今日カリフォルニアは涼しいのかい?」
「そうみたいだよ、さっきリョコウバト達が飛びながらそんな話をしていたよ」
「そうか、それじゃあね」
ポールは頷いてだった、ベイブと共にカリフォルニアに向かった。
この途中に岩山に足を入れて休んだ、そこで目の前の岩山を見てだった。
ベイブにだ、こういった。
「ちょっとこの岩山をね」
「形がいいからだね」
「少し叩いてみたくなったけれど」
「じゃあそうしたらいいんじゃないかな」
ベイブはポールに何ともない感じで答えた。
「ポールがそうしたいならね」
「よし、じゃあね」
それならとだ、ポールも頷いてだった。
手に持った斧で軽く叩くと深い割れ目が出来た、ベイブはその割れ目を見てからポールに対して言った。
「いい形の割れ目だね」
「そうだね」
ベイブ
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