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毎日母が
第四章

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「そうしたこともあった、そしてだ」
「今もだな」
「君の傍にいて見ている」
「そうしているな」
「僕だけだ」 
 マッカーサーは今度はこうも言った。
「ウエストポイントの人間で親が常に一緒にいるのはな」
「流石に住んでいる場所は違うがな」
「だが毎日会っている」
「夜も見られている」
「それではな」
「同じだな」
「一緒に暮らしていることとな」
 同期の面々も話した。
「本当にな」
「先輩の中にはそこから君を攻撃する人もいた」
「お陰で上の方も問題視した」
「君は誰に聞かれても名前を言わなかったがな」
「その話は当然だ、僕は卑怯なことはしない」
 決してという言葉だった。
「それならだ」
「当然のことでか」
「そこは言わないか」
「何があっても」
「そうだ、こうした時はな」
 マッカーサーは同期の者達に胸を張って答えた。
「言わない、しかしな」
「お母さんのことはな」
「どうしてもか」
「君も従うしかないか」
「僕にとって絶対だ」
 母の存在、それはというのだ。
「だからな」
「それでか」
「毎日会って散歩しながら話をして」
「夜も見られているか」
「そうしていく、そして二人で卒業する」
 このウエストポイントつまり陸軍士官学校をというのだ、そしてだった。
 マッカーサーは陸軍士官学校を記録に残るまでの成績で卒業した、だがこの時彼は士官学校はじまって以来はじめて母親と一緒に士官学校を卒業した人間と言われた、それは多分に揶揄を含んだ言葉だった。
 マッカーサーは卒業以後も母親の強い影響下にあって生きていった、軍人としてのキャリアも同じだった。
 結婚のことにも家庭のことにも母親に逆らえなかった、だが母親が死んだ時は暫く脱力状態だったという。この時彼は五十八歳だったがそうなった。彼にとって母親は逆らえないがそれと共に重要な存在だったということか。ウエストポイントのことも含めて深く考えさせられることだろうか。二度の世界大戦で活躍し朝鮮戦争でも名を知られたこの軍人のことだけでなく親子というものを考えるうえで。


毎日母が   完


                2018・12・16
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