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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― A
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そこに現れた式神の形は、まるで異なるものであった。
当然だろう。一輝の使役する式神は彼の一族によって生み出されたもの。その血筋にとって最も操りやすい形になるよう、調整されている。
それに対し、久遠飛鳥が従える式神は安陪清明から譲られたもの。陰陽の神によって彼女が使いやすいよう調整されているとはいえ、ベースにあるのは彼の技術。
異なる形を示すのは、道理であった。

にもかかわらず、戦場における式神の動きはとても似通っている。一輝は経験から、飛鳥は指導によって。それぞれ「率いるもの」としての最適な行動をとっているのだから。
さて、この戦場。それは結果として、いかなる形を取るのやら。それは是非とも、君たち自身の目で確認してほしい。



 ========



《ギリギリにも、ほどがある……!》

はたから見れば、その戦況は互角であるように見えた。しかし実際には、この上なく残酷な状況である。
一つ目に、式神を操る能力そのもの。これには経験の差が存在していたのだが、飛鳥はそれを己のギフトによるブーストで補助している形だ。力技でしかない。
二つ目に、総戦力の差。飛鳥は限られた時間、限られた費用の中で準備するしかなかったのに対して、一輝は箱庭に来る前から保有していたものに加え箱庭に来てからも作成していただけでなく、それが尽きれば檻の中の妖怪を召喚出来る。救いは霊獣クラスは既にほぼ放出しており、自身にはアルマとディーンがいることだろうか。
そして最後に、指示する者自身の強さ。久遠飛鳥本人はさして強くないため隙を見せられず常に守りを固める必要があるのに対して、彼は何かが襲ってきても自分で対処できる。

《それでも、私がやるしかない》
「第一部隊、突撃!」

笛を振るい、一定数の式神へと突撃命令を下す。死兵前提の命令であるためすぐさま同数の式神を展開しつつ、自分の役割を再確認する。

『まず最初、お兄さんは鬼道の当主として……もっと言えば、ぬらりひょんの力を体現する者として戦ってくる。百鬼夜行を、己の部下を従え指示する存在としてね』

なぜなら、それが鬼道という一族の力の本質にあたる部分であるため。契約し、その力を得て、アレンジされたとはいえ本質はぬらりひょんのものなのだ。そんな鬼道の一族の正体を語られた以上、彼らの在り方はそのように固定される。これが、このゲームに仕組まれたギミック。正体不明だったそれが明かされた以上、これ以上の秘匿は不可能であり。主催者はその霊格に従って動かざるを得ない。

『この三人でお兄さんに挑戦する以上、こうやって相手の力に制限をかけるのが最適解。アジ=ダカーハのようにその力を認められたとしてもゲームへの挑戦権は得られるけど、それは“己を滅ぼしうる脅威”への緊急措置だから、『一輝』としての
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