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逃亡者
第四章

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「これはな」
「そういうことやな」
「それでもな」
 ここはというのだった。
「先に進んでいこうな」
「相手がこの森におるのが間違いないなら」
「それならな」
 是非にと言ってだ、そうしてだった。
 遂に森の奥で怪しい男を見付けその男を追いその前に立ちはだかった、それは逃亡生活の中であちこちが破けた囚人服を着ているワーウルフの男だった。ワーウルフは人間の姿にもなれるが男は黒い毛の狼男の姿になっていた。
 その彼がだ、自分の前に来た二人を睨んで言った。邪悪さと狂気に満ちた濁った目を持った男だった。
「俺の邪魔をするのか」
「邪魔をするんちゃう」
 それはとだ、リョサは男の言葉を否定した。
「お前を捕まえてや」
「またあの下らない場所に送るのか」
「そして今度こそ死刑になれ」
 裁きを受けろというのだ。
「自分がこれまで殺した人達の報いを受けるんや」
「そう出来ると思うのか」
 脱獄囚は不敵な笑みを浮かべてリョサに応えた、そうして右手をさっと真上に挙げるとだった。二人の周りに。
 多くのモンスター達が出て来た、男は二人を囲んだうえで彼等に告げた。
「この数のモンスター達に勝てるか」
「勝てるわ、ついでにな」
「ついでに。何だ」
「お前の後ろによおさんの影が見えるわ」
 エクソシストであるリョサにはよく見えていた、その職業故に。
「お前がこれまで殺してきた人の魂がな」
「何っ?」
「お前に殺されても寿命で生き返られへんかった人達のな」
 見れば百はあった、リョサはこの数から脱獄囚が実は四十どころか遥かに多くの人を殺していることがわかった。
「その人達の無念を果たさせるか」
「どういうことだ」
「最後の最後でわかるわ、まずはな」
「ああ、この連中をな」
 ペエトリが応えた、そしてだった。
 二人は自分達に襲い掛かってきた脱獄囚が操るモンスター達を神具や術で倒した。そうして脱獄囚に憑いている彼が殺した人達の霊魂をだった。
 浄化させると共に脱獄囚に向けさせた、すると。
 男は百を越える霊魂に襲われて身体だけでなく魂もズタズタにそれこそ肉片一つ一つになるまでに引き千切られ恐ろしい断末魔の絶叫と共にこと切れた、ピエトリはその顛末を見てリョサに話した。
「これも全てな」
「自業自得やな」
「因果応報というかな」
「報い受けたな」
「ほんまにな」
 こう言うのだった。
「私もそうさせたけどな」
「あえてやな」
「悪行には報いがあるべきや」
「それでエクソシストとしてやな」
「そうさせた、これでもう誰かが犠牲になることはないし」
「脱獄すらな」
「ないわ、捕まえて処刑台に送ろうと思ったが」
 その考えをというのだ。
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