10話
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ロキ・ファミリアの件の翌日。いつも通りに朝早くからダンジョンへと向かっていた。
「さて、今日も頑張りますか」
走りながら向かっていると誰かに見られたような感覚に教われた。
「!?」
ベルはそのまま体を半回転させ小烏丸を抜くが、まだ早い時間のためベル以外の人影などなかった。
「あの…」
「え?」
「これ、落としましたよ?」
声かけられたため再び前に向き直るとちょっも変わった服装の少女の手には魔石が置いてあった。
「魔石?換金し忘れたやつかな。ありがとうございます」
「いえいえ。あの、格好から察するに冒険者さんですよね。こんな朝早くからダンジョンに向かわれるんですね」
「ああ。と言っても俺みたいな物好きぐらいだがな」
「うふふ。そんなことはないと思いますよ」
軽く話しているとベルのお腹の虫が鳴き出した。
「///」
「もしかして朝御飯まだなんですか?」
「…ええまあ、お恥ずかしながら」
「ちょっと待っててくださいね」
そう言って少女は建物のなかに入っていく。そして帰ってきた少女の手には小さな箱があった。
「これよかったら受け取ってください」
「え?でも、これは貴女のじゃ」
「困ったときはお互い様です。もし、私に何か恩返しをしたいとお考えなら、今日の夜にでも私が働いているお店に食べに来てください」
「お店ですか?」
「はい。あそこにある『豊穣の女主人』と言うお店です」
示された方へと顔を向けると看板にそう書かれていた。
「分かりました。今晩にでも食べに行きますね」
「はい。お待ちしておりますね、冒険者様」
「ベルです。ベル・クラネルといいます」
「私はシル・フローヴァといいます。今晩は楽しみにベルさんが来るのを待っていますね」
こうしてベルはシルと別れてダンジョンへと向かっていった。
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