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ドリトル先生と姫路城のお姫様
第五幕その三

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「ここは凄く奇麗だって」
「本当にそうだね」
 チーチーが続きます。
「この世にこんな場所があるんだね」
「ここにある一つ一つが芸術品だね」
 老馬は実際にこう思いました。
「壁も石垣もね」
「こんな場所に住めたら」
「どれだけ素晴らしいかしら」
 チープサイドの家族もうっとりとなっています。
「このお城の城主様が羨ましいかしら」
「このお城に住めて」
「江戸時代のお殿様とかね」
「このお城に住めて最高の気持ちだっただろうね」
 最後にオシツオサレツが言います。
「他の大名の人達にも自慢出来るね」
「こんな立派なお城に住めるとか」
「そうだね、そしてね」
 先生は皆のお話を受けてこうも言いました。
「このお城にはね」
「うん、あのお姫様がいるんだよ」
「今も住んでるんだよね」
「そうだよね」
「そうだよ、ただね」
 ここでふと思った先生でした。
「このお城の天守閣は前に改修したね」
「ああ、そうだったね」
「それでお城が真っ白になったね」
「それまでも白かったけれどね」
「余計に白くなったね」
「あの時お姫様はどうしていたのかな」 
 ここでこう思った先生でした。
「一体」
「他の場所に住んでいたのかな」
「そうだったのかな」
「このお城の何処かに」
「そうしてたのかな」
「やっぱりそうなのかな」
 先生は考えつつ皆に応えました。
「あの時は」
「そうなのね」
「それじゃあね」
「あの時は天守閣から出て」
「このお城の何処かで暮らしていたのかしら」
「そうだったのかな」
「その辺りのことは気になるね」
 王子もこう言いました。
「この姫路城にいつもいる方だからね」
「そうだよね」
「兵庫の妖怪変化の総大将だから」
「この姫路城にいつもいる筈だから」
「天守閣を離れて」
 改修の間はです。
「このお城の何処かにいたのかな」
「そうかも知れないわね」
「考えてみれば住む場所が多いしね」
 このお城はというのです。
「櫓も多しね」
「そうだね」
「そのお城の何処かに入るか」
「そうしたお話を考えれば」
「何処でもあるね」
「そうだね」
 動物の皆も言います。
「ひょっとしたら」
「このお城の何処かにいたのかしら」
「そう思うとね」
「何処か気になるね」
「どうにも」
「僕もね」
 まさにと言った先生でした。
「何処なのかって思うけれど、ただ」
「ただ?」
「ただっていうと」
「わかっていて何度も巡ってみたけれど」
 それでもというのでした。
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