第一章
[2]次話
天空城の堕天使
フランシスコ=ルルフォとフェリペ=インペルはこの時ルルフォの神託でメキシコのモンテレーに来ていた。
街に入るとルルフォは早速街の上空にある浮島の一つを見て忌々し気に言った。
「あの島やな」
「ああ、あそこやな」
インペルもその浮島を見上げて忌々し気な顔になっている。
「あの島にな」
「今この街を脅かす外道がおるわ」
「そやな」
「正直言うてな」
ルルフォは浮島を見たままインペルに言った。
「副宰相さんから話聞くまでな」
「太宰からな」
「そんな話信じられんかったわ」
「今時生贄を捧げる邪教がおってな」
「中南米でもな」
中南米の神々は生贄が付きものだがというのだ。
「それはもう禁じられてる」
「供物は捧げてもな」
「肉とか野菜とか果物でや」
「人の命やないな」
「神様もそちらの方がずっと嬉しいってわかってるからな」
「それでやな」
「そういうのは禁じられた」
こう言うのだった。
「筈やった」
「それがやな」
「まだ生贄がええと思ってな」
「人を攫ってまでしてな」
「生贄捧げてるとかな」
「ほんまの邪教やな」
「そんな邪教は放っておけるか」
それはだった。
「もうな」
「答えは出てるな」
「そや」
まさにというのだった。
「潰す、絶対にな」
「それでやな」
「今から行くで」
「ああ、けどな」
浮島に赴いて邪教を成敗する、このことは太宰からも頼まれている。そしてルルフォはこれが自分の神託だと確信している。
だがそれでもとだ、インペルは言うのだ。
「軍隊が征伐に向かっても」
「雷が嵐みたいに荒れ狂ってな」
「とても近寄れんらしい」
「どうも教団の教祖が出してるらしいな」
「相当な術の使い手でな」
「雷もな」
こちらの術もというのだ。
「それだけ出して使って」
「それで軍隊すら近寄れん」
「それでや」
ルルフォはあらためて言った、狼人のその顔を苦々しいものにさせて。
「僕等が行くんやが」
「どうして行くかは」
「そんなんもう考えるか」
自身の神具の一つアスカロンを出して言った。
「もうな」
「宙を飛ぶ術を使ってやな」
「正面からや」
「堂々と突破するか」
「そや、自分もそれでええな」
「ああ、拙者の神具はいるか」
「そんなんええ、僕の神託や」
インペルの申し出はこう言っていいとした。
「それやったらな」
「自分でか」
「何とかするわ」
こう言うのだった。
「自分のこともな」
「そうするか」
「そや、というか雷が幾ら出てもな」
軍隊が空船に乗って浮島に降下しようにもそれを妨げるまでに凄まじいものであってもだというのだ。
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