暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十三 〜并州〜
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「はっ。晋陽のみならず、周辺の村や邑からも、続々と民が押し寄せ、皆で城を囲んでおります」
「ふむ。原因は?」
「それなのですが……。高順殿、臧覇殿。もう、宜しいのでは?」

 星の言葉に、二人が頷いた。

「土方様。趙雲殿が申す通り、我らはこの事、存じておりました。申し訳ござりませぬ」
「騙すつもりはありませんでした。ただ、事が露見すれば、朝廷より討伐軍が派遣されましょう」
「……なるほど。全ては丁原殿のお指図、という訳か」
「はっ」
「ならば、躊躇する事はあるまい。霞、愛紗、月、詠、それに高順と臧覇、共に参れ。稟、風、鈴々、華雄、恋は城外にて待機。念のため、警戒に当たれ」
「御意!」



 晋陽城に着くと、取り囲んでいた群衆がサッと、道を開けた。
 城門のところには、何人もの役人が転がされている。
 皆、縄を打たれた状態で。

「こいつらは、税と称して勝手に収穫を巻き上げていった連中だ!」
「オラんとこは、娘を連れて行かれただ!」

 群衆が口々に、役人を糾弾する。

「お、おい! 貴様! 早く助けろ!」
「我々は陛下より任じられたお役目を遂行したまでだ!」

 見苦しく、手足を動かしながら訴えてきた。

「董卓殿! 愚かな民と我ら、どちらを信じるのですか!」
「そうですぞ。如何に中郎将とは申せ、我が一族は代々に伝わる家。それを見殺しにしたとあらば、貴殿にも害が及びますぞ!」

 そんな役人の抗弁に、更に群衆が騒ぎ立てる。

「月」
「はい」
「この場合、刺史の権限にて裁きは可能だな?」
「勿論です。ここにいるのは、県令以下の身分の方だけですから」
「わかった」

 私は、群衆を振り仰ぎ、

「皆、静まれ。私は、土方歳三と申す。この通り、并州刺史の印綬を預かる者だ」

 そう告げた。

「此度の事、并州刺史、丁原殿よりこの土方が処分を預かった、そう心得る。裁きは私が行う故、皆は解散せよ。無用な乱暴狼藉を働かぬ限り、特に咎め立てはせぬ」
「刺史の印綬など、出鱈目だ!」
「そうだそうだ! 土方などと言う名、聞いた事ないわ!」
「黙れっ! これは、丁原殿よりの厳命である。そうだな、董卓殿?」
「はい。私もその場に立ち会いました、この方の仰る事は、事実です」

 凛とした言葉に、あたりは静まり返る。

「では、参ろう。愛紗、霞、こいつらを引っ立てい!」
「了解や!」
「御意!」
「な、何をする! 離せ!」
「こ、このような事をして、ただで済むと思うな!」

 往生際の悪い輩共だ。
 取り調べの結果。
 皆、何らかの不正を働いていた事が発覚。
 証拠を突きつけても認めぬ輩もいたが、一切の情状酌量の余地など、ない。
 罪を書き述べ、市
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ