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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
力脈
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て飲んでみてくれ」

 みんなが恐る恐る口にすると――。

「こ、これは!?」
「どうだ、悪くないだろう?」
「う」
「う?」
「うー、まー、いー、ぞぉぉぉぉっっっッッッ!」
「いや、そんなミスター味っ子みたいなリアクションするほどじゃ……」
「あんた、すげえな! こんな革命的な飲み方知らなかったぜ」
「そんな大げさな……ハッ! これはあれか? 異世界ものによくあるアレなのか? 肉を両面焼きしたり金貨を一〇枚まとめて数えたり、椅子と机に座って食事しただけで天才呼ばわりされる、アレなイベントか!? なんてこった、俺はカクテルでそれをやっちまったのか……」

 嬉しいやら恥ずかしいやら、法眼は上気して変な汗が浮いてくる。

(いやまあ、考えすぎか。酒になにかをくわえる飲み方なんて紀元前からあるんだし、たまたまここの人たちに酒を混ぜて飲む習慣がなくて『カクテル』という言葉を知らなかっただけにすぎないのでは?)

 カクテルの歴史は古く、紀元前のエジプトではビールに蜂蜜や生姜を入れて飲んだり、ローマではワインに海水を入れて飲んでいた。唐の時代の中国でもワインに馬乳を加えた乳酸飲料が飲まれていたと伝えられている。
 江戸時代の日本にも柳蔭(やなぎかげ)という、焼酎と味醂のカクテルが存在する。
 人は古くから酒になにかを入れて味わっていたのだ。

「だがしかし……、この調子で墾田永年私財法だの楽市楽座だの兵農分離だの丈量検地だの四公六民や関所の廃止みたいな内政チートを駆使すれば良い夢が見られるかもな!」
「リッツバーグ伯爵領ではもとより四分六民。飢饉や災害時など、場合によってはもっと税を軽くしたり、免除することもある」
「素晴らしい善政だな。所得税やら消費税やら社会保障で江戸時代の五公五民よりも酷い負担を強いたり、名ばかりの被災者生活再建支援法でお茶を濁す日本の政治家どもよりもリッツバーグ伯爵のほうがよっぽど優れている」
「や、これはカート様!」

 酒盛りをしていた使用人達がいっせいに姿勢を正す。

「ホーゲン、着いた早々に悪いが俺の修行の成果を見て欲しい。他のみんなは楽にしていてくれ」

 カートと法眼は庭の一角に場所を移して剣を交えた。

「剣の技は千変万化。心から剣を消して呼吸を以て操る。剣にとらわれみずからを見失うことこそ最大のあやまち。剣に心を奪われれば思うように動けず。本来の力を引き出すことができない。剣は手の延長。敗者は敵に敗れる前におのれに敗れる。心が平穏ならば勝機はある――。剣に迷いが見えるぞ、なにか悩みでもあるのか?」
「ああ、実はZクラスのことなのだが――」

 …… …… …… ……

「ほう、そのようなことが」
「俺には残念でなりません。せっかく魔法を学べる、魔法以外
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