第19話
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いる区画なら部屋の外を自由に歩けるようになったわ。尋問が無くなったから暴力を振るわれることもなくなった。定められた場所なら酒や煙草も許されるようにすらなりました。……食事は変わりませんでした。リリアナの構成員も同じものを食べてるから変えようがなかったんですよね。今は多少改善しましたけど。嗜好品の一種ということで新聞や雑誌も与えられたことで『外』のことを考えるようにもなってきて、解放も近いと、そう考える仲間も居ましたっけ。今思うと馬鹿みたいですよね。
……捕虜生活はここからが本番だったわ。彼らは私達に対して新しいアプローチを試みることにしたの。その為に体力や気力を回復させようとしていたのね。
クスリよ。自白剤。それもとびきり強力な奴。一回クスリを打たれたら最後、二度と元には戻らない。
目の前で実演された時はさすがに震えたわ。だって、今まで、彼らは言うことをきかせるために暴力をふるうことはあっても、後戻りできない一線は越さなかったから。でも、アレは違うから。もうそんな気遣いをしないってことだから。私達を殺してでも情報を得るっていうことが明らかだったから。
体力が回復した分、みんな案外頑張ったわ。……いえ、自発的じゃなかったもの、頑張れた、と言うべきなのかしら? 自白剤で自我が殺されたあとは色々弄られて、最期は脳外科手術までされて肉体も殺された。何の意味があるのか知らないけど、生体解剖までしたのよ。……脅しと言えば脅しだけれど、それはおまけみたいだった。使い潰す事になるから今まで出来なかった確認を、使い潰す事が出来るようになったから行っている……という感じだったわ。暗号か専門用語かわからない言葉が飛び交って、大真面目で議論しながら弄くるんだから。見ていて頭がおかしくなりそうだった。
極めつけが『最後まで頑張った』仲間のホルマリンが一つずつ増えていくことね。アレを見せられてからは死刑囚と同じよ。毎日毎日お祈りしたわ。
基準は分からなかったけど、誰かが選ばれる。選ばれた人は拷問から自白剤、実験動物からホルマリンまでのフルコース。みんな必死に祈ったわ。自分は選ばれませんように……って。他の誰かが選ばれますように……って。そして、誰かが選ばれてからもまた必死に祈ったわ。死なないで。お願い、死なないで……って。犠牲の羊が生きている内は、次の羊が選ばれることはないもの。待つ恐怖に耐えられなくて、自殺を図る人も現れたわ。でも、彼らの医療技術や設備は大したもので、普通なら助からない所からでも蘇生させるし、治療しちゃうの。だから自殺が成功することは無かったわ。その医療技術を存分に使って、これ以上は無理ってくらい私達を有効活用しようとするんだから、やられる方は堪ったもんじゃないわよね。
……ああ、自殺の話だったわね。自殺しようという動きはすぐになくなりまし
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