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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第19話
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。全部罠だったの。分りやすい不審者を演じて、哀れな獲物が寄ってくるのを待ってたってわけ。情報を得る為に拐かすなら一般人より官憲の方が望ましかったから、こんな面倒なことをしていたのね。現場にいた全チームが囲まれて、後は武装解除、拘束、拉致。そして全員がここに連れ込まれて、尋問が始まったわ。質問の内容はほとんど3つ。

「パックスは何をしたのか?」
「クレイドルはどうなった?」
「コジマ汚染はどこに消えた?」

 ……彼らが何を言っているのか全くわからなかった。今もわかるとは言えないわ。軍の機密に関わる何かとも考えたけれど、チームの責任者、情報部の中佐ですら答えられなかったわ。ジオン出身のあなただって答えられる筈が無い。絶対に無理ね。
 呆気にとられる私達を無視して、彼らは勝手に焦って、怒って、錯乱していったわ。初めて耳にする言葉を並べ立て、彼らの求める何かを、それはもう懇願するようにして聞き出そうとしていた。私達を拷問しながら、それはそれは必死にお願いするの。五十を過ぎたムッキムキのおじさんが、本当の事を話してくれって、涙と鼻水を全開にして泣きながら私の腕を捻ってくるのよ? 今思い返してみても異様な光景だったわ。おじさんの泣き顔も拷問も御免だったし、彼らの求める答えは軍の機密でもないようだったから、答えられるものなら答えたかったけど、私達の内、誰一人として彼らを満足させられなかった。誰も彼らの求める何かを知らなかったから。数日の無意味なやり取りの末に、彼らは質問の仕方を変えたわ。
 彼らの求める答えについては一度脇に置いて、知っていることは何でも喋らされたの。軍の機密も私の家族関係も一般常識も関係なく、何もかも、何でもかんでも一切合切全部!
 本当に、言葉通り『何でも』よ。イスとかテーブルを指して、これはなんだ? って聞いてくるの。イスはイスでしょ? 他に何があるの? 金属と布で作られた、腰掛ける為の家具? 木製もある? 馬鹿でしょ。でもこんなのは序の口よ。こんなことが一ヶ月は続いたかしら。みんな壊れたスピーカーみたいになってたわ。話すのを止めると殴られるしね。それでも彼らはそこで満足しなかった。

 ある日、突然、話さなくて良いと言われたわ。身体を休めろと。人をさんざん拷問しておいて勝手なことを言ってくれますけど、まぁ、待遇が良くなるのは良いことですよね。……何頷いているんですか、そんなわけないでしょ。もう私達だってまともじゃいられなかったんだから。結局、多分全員が殴られたり電気を流されたりして物理的に黙らされたわ。そんなことを何度か繰り返して私達が黙ると、本当に待遇が改善していったの。
 私達は何人かずつで一部屋に入れられていたんだけど、他の部屋への出入りが許可されて、他の仲間と会えるようになったの。嬉しかった。付随して、収用されて
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