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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第71話 過去語 四
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の出血。
更に頭がふらついて、後ろに倒れた事によりベッドボードの角に頭を強打。
そして、気絶???
◇ ◇ ◇
「は……」
「よーやく気付いたかよ、クソガキ」
「……もう偽ポリ公との喧嘩は済んだ?」
「カナタか? 彼奴ぁ頭に氷乗っけながら外で煙草吸ってるわ」
そう言われて窓の方を見てみると、確かにベランダで頭に氷が入った袋を乗せながら煙草を吸っている偽ポリ公が居る。
そう言えば、この白髪ヤクザに殴られたんだっけ。イラつくぁ。
「ねぇ、アンタが“マキ”ね……私に何か用?」
「あー、カナタに聞いたか。話は簡単だ。お前の魔法研究のデータ、全部マギアに寄越せ」
「ヤダ」
ふざけんな。
魔法研究のデータとか……私の存在同然だし。
「……って事でさようなら」
「……そーかよ。ま、当たり前か。マフィア抜けたんなら、もしかしたらと思ってたんになぁ。その魔法を遣って、マフィアに“復讐”だって出来るんだぜ?」
「……別に。復讐は例え何年掛かったとしても、自分でするから」
体が普通に動くことを確認してから、私はベッドから降りる。そして、ベランダの方へ移動する。
そうしておかないと、間に合わない。
「なら……無理矢理奪っても、構わないよな?」
静かな声。マキと言う奴は、恐らく偽ポリ公の仲間、つまりマギアの者だろう。
だから、此処で私の記憶を盗み見たり、盗られてしまったりしたら、後でとんでもない事になるかもしれない。
それを阻止するためにも、私はこの情報を守る必要がある。
「奪えるんだったら、奪ってみなよ」
窓を開けて、偽ポリ公の横で大きく跳ぶ。そして、ベランダの柵を飛び越えて、空に飛び出す。
「は……??」
「ちょ、おい……????」
偽ポリ公が慌てた様子で煙草を落とし、直ぐに此方に手を伸ばす。が、届かない。
マキもベランダの柵を飛び越えてから、器用にベランダに足を引っ掛けて、宙吊りの状態で手を伸ばす。が、届かない。
手で銃の形を作って、自分の顳?に押し当てる。そして、叫ぶ。
「いいことを教えてあげるよ! 魔法は“権限”には勝てない??」
???パァン。
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