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ドリトル先生と姫路城のお姫様
第四幕その五

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「私もお話しやすいわ」
「ううん、僕は昔からね」
「偏見についてはなのね」
「ないつもりだから」
 それでというのです。
「学問にそれがあったら駄目だしね」
「人種とか民族とか宗教に」
「あと性別や生物としての種類にもね」
「偏見がないのね」
「今まで色々な場所を巡ったり色々な人に会ってきたしね」
 このこともあってというのです。
「だからね」
「偏見はないのね」
「月にも行ったしね」
 笑ってです、このこともお話した先生でした。
「それで月の人達もお会いしたし」
「ああ、月にも行ったわね」
「アポロ十一号以前にね」
「物凄いお話ね」
「ひょっとしたら」
 ここでふと思った先生でした。
「僕が会った人達はかぐや姫の子孫だったかもね」
「あっ、竹取物語ね」
 かぐや姫と聞いてです、お静さんはかぐや姫がヒロインである世界で最初の物語とも言われているお話を思い出しました。
「あの物語は私も大好きよ」
「そうなんだね」
「ええ、それでね」
「それで?」
「先生の言った通りね」
 お静さんは先生ににこりとして言うのでした。
「先生がお会いした月の人達も」
「かぐや姫の子孫でもだね」
「不思議でないわね」
「そうだよね」
「中国でもそんなお話があるしね」
「常蛾のお話だね」
「ええ、あの女神様のお話もあるし」
 だからだというのです。
「先生がお会いした人達は本当に。ひょっとしたら」
「あの時にだね」
「若し生きていたらだけれど」
 こう前置きをしてお話するのでした。
「かぐや姫にもね」
「お会い出来たのかもだね」
「知れなかったわね」
「そうだね、そう思うと」
「あの時にお会い出来なかったことは」
「今は残念に思えるよ」
「そうなのね。それでも色々なところに行って色々な人とお会いしたから」 
 だからと言うお静さんでした。
「先生には偏見がないのね」
「そうだろうね」
「いいことね」
 にこりと笑って言うお静さんでした。
「本当に」
「そうだよね」
「それとね」
「それと?」
「そんな先生なら」
 先生をよく見て言うのでした。
「絶対に素晴らしい方と一緒になれるわね」
「結婚かな」
「きっとね」
「ははは、僕にはね」
「そんなお話っていうのね」
「ないよ」
 このことはすぐに否定するのでした。
「絶対にね」
「そうかしら」
「僕はもてないんだ」
 断言する先生でした。
「女性には縁がないよ」
「それも全く、なのね」
「そうだよ、僕は生まれてこのかたね」
 それこそといのです。
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