第四幕その二
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「実はね」
「凄く奇麗な人なんだ」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「あの作品は私も読んだし観たけれど」
それでもというのです。
「ちょっと妖しく描き過ぎよ」
「あれは泉鏡花の作風だね」
「私もそう思うわ」
「泉鏡花にも詳しいみたいだね」
「勿論水木しげる先生にも詳しいわよ」
こちらの妖怪についての大家にもというのです。
「あの人今は博士になってるし」
「お亡くなりになったけれど」
「そう、人間としての一生を終えてね」
そうなってというのです。
「遂に私達と同じ妖怪になってね」
「そうしてなんだ」
「外見はそのままで」
人間の時と同じというのです。
「妖怪のことなら何でもご存知の」
「妖怪博士にだね」
「なったのよ、私達の中じゃ名士よ」
日本の妖怪の中でもというのです。
「もうね」
「何か納得出来るお話だね」
「そうでしょ、あそこまで妖怪のことを描いてくれたのよ」
漫画の中で、です。
「そして凄く詳しくて親しくしてくれたから」
「妖怪になることも当然だね」
「そうよ、今じゃ本当に試験も学校もなくて」
「朝は寝床で夜は夜で」
「運動会って感じよ」
そうして楽しく暮らしているというのです。
「そうしてくれてるわ」
「いいことだね」
「私達はね」
日本の妖怪はとです、お静さんは先生にお話します。
「いつも人間と一緒にいるのよ」
「妖怪の世界と人間の世界は一緒にあるね」
「神様の世界もね」
「三つの世界の垣根は低いね」
「曖昧よ」
そこはというのです。
「凄くね」
「人間は神様になれば」
「妖怪にもなるし妖怪と神様もね」
「実はあまり違わないね」
「そりゃ天照大神位偉い神様は違うけれど」
妖怪とは全く違う存在だというのです。
「姫路城のお姫様や九尾の狐になると」
「神様と言ってもいいね」
「実際九尾の狐って神獣でもあるから」
そうした存在でもあるからだというのです。
「だからね」
「もうそこはだね」
「そうよ、妖怪はね」
まさにというのです。
「人間や神様とね」
「あまり違わないね」
「そうよ、ただ心がね」
「どうかだね」
「大切なものがなかったら」
その心にです。
「もう人間でも妖怪でも神様でもなくなるわ」
「化けもの、かな」
「そう言うべきね、妖怪と化けものは同じ様に言われるけれど」
それでもとです、お静さんは先生にお話します。
「実はね」
「違うね」
「そうよ、人間も心に大切なものがないとそうでしょ」
「人間でなくなるね」
「では何かというと」
「化けものだね」
「神様もよ、心の中に大切なものがないと」
そうなればというのです。
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