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ドリトル先生と姫路城のお姫様
第三幕その十一

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「とりわけ好きだよ」
「先生が日本に来るきっかけになった食べものだしね」
「あの時のことは一生の思い出だよ」
 先生は王子に笑顔のまま答えました。
「そのこともあってね」
「それでだね」
「そう、すき焼きは大好きだよ」
「しかもお肉は神戸牛だよ」
「奮発したね」
「いや、実は日本領事館にお呼ばれしてね」
 王子は先生に明るい笑顔で答えます。
「その時に領事さんにプレゼントしてもらったんだ」
「そうだったんだ」
「我が国と日本の文化交流の式典に参加して」
「その時に神戸牛のお肉を貰ったんだね」
「すき焼きのね、領事館でステーキをご馳走になったけれど」
 神戸牛のそれをというのです。
「こちらもね」
「美味しかったんだね」
「最高だったよ」
 その味を思い出してです、王子はにこにことしています。
「こちらもね」
「ううん、神戸牛は別格だからね」
「というか日本の牛、和牛はね」
「他の国のお肉とはまた違うね」
「独特の美味しさがあるね」
「そうだね」
「アメリカやオーストラリアのお肉はふんだんに食べられるけれどね」
 安くてです。
「和牛は高いけれどね」
「味が違うからね」
「まさに別格だから」
 文字通りにというのです。
「明日が楽しみだよ」
「皆で食べようね」
「是非ね、しかもお豆腐もあるね」
「うん、すき焼きには欠かせないよね」
 こちらもとです、王子は先生に答えました。
「やっぱり」
「だからだね」
「持って来たよ」
「それもいいね、最近お豆腐を結構食べるけれど」
「そうなんだ」
「湯豆腐も食べたしね」
 この前にというのです。
「それも美味しかったしね」
「すき焼きのお豆腐もだね」
「楽しむよ」
「それじゃあね」
「そしてね」
 先生は王子にさらにお話しました。
「泉鏡花も好きだったからね」
「今先生が論文で書いている作家さんだね」
「そう、この人もね」
「そうだったみたいだね、冷奴を絶対に食べないで」
「僕は冷奴も好きだけれどね」
「僕もだよ、夏は特にね」
 王子はにこにことして冷奴のことにも言及します。
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