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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋が奏でし二重奏 U
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を零す。その余韻のある程度が失せてから、何がなしに《緋想》を構えた。アリアも銃のリロードを済ませている。そのタイミングが一致していたのは、恐らくは無意識的に直感していたからだろう。ここからが本番なのだということを。
理子を挟んで向こう側──アリアに「君は後衛に回っておくれ」と視線を送る。彼女もそれに背くと、理子から僅かに距離をとった。理子の興味は自分に向いている。そこを利用するのだ。


「……今度はあっくんが相手?」
「アリアばかりにさせるわけにも、いかないからね」
「そっかぁー」


間延びしたような調子で理子は呟くと、彼女は手にしていたUZIを仕舞った。代わりに、タクティカルナイフをその華奢な両手に握らせている。「銃弾は通じないって分かったしね」
そう笑う理子の判断は、正しかった。《明鏡止水》の自分に、銃弾は効かない。ナイフなら、尚更──というわけでも、実はないのだ。《明鏡止水》は局所的なスローモーション化で成り立っている。自分の直感と意図とを引き金に発動させているのだ。常にそうした状態だと、体力的な面で身体に影響を及ぼす。《明鏡止水》自体も、長くて数時間ほどしか保たない能力だ。

とはいっても、ナイフと日本刀では小回りの利くナイフの方に分があるのは明々白々だろう。仕方なしに《緋想》を収め、取り出した2本のマニアゴナイフを逆手に握る。ナイフを実戦に運用するのは久しぶりな気がする、が──刀剣類に関しては、ある程度の自信を持っているからね。《明鏡止水》の恩恵を受けなくても、並の人間以上には戦えるはずだ。


「……さぁ、来るなら来なさいな」


言い終えるが早いか、理子は瞬時に肉薄してきた。小柄な身?を屈めて間合いを詰めてくる。頬を狙った横薙ぎの刀身をマニアゴナイフで軽く受け流しながら、それがブラフであることを直感した。途端に床を蹴って彼女から距離をおく。刹那に鋭敏な風切り音が響いた。一瞥してみると、つい今まで自分の腹部があった虚空が、綺麗にそのまま穿たれていたのだ。

しかし避けたからといって安堵している暇はない。着地するタイミングを見計らって放たれたナイフは、目許のあたりを僅かに掠めていった。掠めた程度で済んで僥倖だったと言う他には無い。もしも切れていたら、流血で片目の視界を失っていたところだろう。……油断ならないね。

背のあたりが震懾させられた──それを気取られないようにしながら、嘆息する。そうして瞬時に体勢を整え直し、縮地法で理子に肉薄していく。現在の彼女の武装は単一のナイフだけだ。銃も隠匿しているとはいえ、《境界》で対処は出来る。戦力ならこちらに分があるだろう。
手首や目蓋を狙う刀身はことごとく防がれていく。それでも、反撃の余地を与えずに追随していった。照明が刀身に反射する度に、鈍色が視界
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