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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
魔人襲来
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笑い話にもならない一大事。各地から魔物ハンターを集めているが、いまだ成果はあがっていない。

「それは好都合だ、留守の間にカートを再調整しよう。それと、ホーゲンをこちらに引き込むため人を遣わすことにする。人選は、そうだな――」



 ライアス辺境伯の館で連日におよぶ歓待を受けた法眼は、数日ぶりに麓の街まで降り立った。

「腕に覚えのある騎士や何人もの魔物ハンターが討ち取れなかった悪魔の馬をよくぞ殲滅してくれた。ラッセル伯の推薦だったので期待していたが、実に期待以上の働きであった。礼を言うぞ」

 ライアスは悩みの種を取り除いてくれた新人魔物ハンターの活躍に大いに満足した。なにせ何ヵ月も悩まされていた魔物の群れをわずか一日で全滅させ、群れを率いていたひときわ巨大な魔馬の死骸を手にすることになったのだ。さぞかし立派な剥製が作れることだろう、正規の報酬とは別に褒美として名馬を与えようとした。

「私ごとき過分の沙汰、もったいのうございます。というのも私の一族は農耕民でして馬に乗る習慣がなく、恥ずかしながら馬をあつかう術を知りません。せっかくの名馬が宝の持ち腐れになってしまいます」
「ならばここで存分に馬術を習うといい。十分に扱えるようになるまで我が邸に滞在することをゆるす」

 そういうこととなったのだ。
 昼は山野で馬を走らせ、夜は宴会。法眼は期せずして騎馬民族の王候さながらの生活を満喫することとなった。
 猪肉の骨つきロース、鹿肉と玉ねぎのシチュー、鶏肉パイ、鱒のグリル、アンチョビー・ペーストをそえたバタートースト、山盛りのポテトフライ。
 出される食事は王都のものほど洗練されたものではなかったが、獲れたての猪や鹿といった野趣あふれる料理はジビエ好きな法眼の舌を満足させ、なによりも酒が美味かった。
 そのようなことで予定よりも長くこの地に逗留することとなったのだ。

「これではカートの試験に間に合わないな。まぁ、憑き物も落ちたしあいつの実力なら問題ないだろう」

 街の魔物ハンター組合(ギルド)に足を運び、市民証に記録された魔物の討伐記録を見る。
 この市民証。個人の魔力パターンを認識することができて、本人以外は起動できない、信頼できる身分証明書だ。
 キャッシュカードの機能もあり、アールスハイド王国内の王立銀行ならどこでも利用可能だ。
 さらに魔物が出す特定の魔力パターンを一ヶ月間は記憶することができ、魔物ハンターは討伐に出る前に魔物ハンター組合(ギルド)で現在の討伐情報を記録し、討伐から帰ってきた時に出る前との差額を計算して報酬を受けとるという流れだ。
 すでに報酬を得ている法眼は内容だけを確認する。

「はっきり言ってオーバーテクノロジーだ。服装や建物の造りから鑑みるに、この世界は俺のいた世界で
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