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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
遥かなる異境『日本』
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経レベルで戦える身体≠ノなるのだ。
 常人がその動きに反応するのはむずかしい。
 もちろん表面の動きだけを似せるだけではだめだ。そのような形骸化した型稽古にはなんの意味もない。
 型稽古というのは型の動きをおぼえるのではなく、型を通して戦いの動きをおぼえることに真の意味があるのだ。
 ただ型をなぞるような練習はせず、その動きを自分のものにすることが目的なのだ。
 法眼の脳裏に昨日戦った鬼の姿が浮かぶ。

(術なしで戦うとしたら、どうするかな……)

 妖魔の類は総じて人より丈夫で、通常の弾丸や刀剣を弾くほどの頑強な皮膚を持った種も存在する。そのような個体にも気を乗せた攻撃。発剄と呼ばれるような攻撃方法なら、素手でも致命傷を与えることが可能だ。
 さらに人型の妖魔は比較的倒しやすい。人体の構造や弱点が人間のそれと同じ場合が多く、急所をつきやすいからだ。
 下段を狙った蹴りで金的や膝関節を攻めて姿勢を崩す。上体が下がったら水月に当て身を食らわし、とどめは顔面に打撃。もし背中を丸めて水月が隠れるようなら角を引っつかんで顔面を潰す……。
 実戦を想定しつつ、ひととおりの型を演じ終え、ひと息つく。

「べつに演武を披露しているわけじゃないだけどな」

 先ほどから視線を感じていた背後の物陰にむけて声をかける。

「あんた、昨日の花園神社の時もいたよな。隠形ぬるすぎなんだよ!」

 鋭く刀印を結ぶや、背後に向かって手印を斬りつけた。常人には見えざる呪力の刃が空間を裂いて炸裂する。
 黒い靄が吹き出した。
 漆黒の闇が法眼の全身を包む。
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