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ドリトル先生と姫路城のお姫様
第二幕その六

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 そしてです、先生はまた言いました。
「まあ泉鏡花はご愛敬かな」
「その色々な逸話もだね」
「森鴎外は細菌学の権威だったから細菌を警戒していてね」
「泉鏡花はチフスになってだね」
「細菌を警戒していたけれどね」
「確か旅行の時はいつもアルコールランプを持って行ってたんだったね」
「お水を飲むね」
 その時にというのです。
「火を使ってね」
「沸騰させて消毒して」
「そうして飲む為にだよ」
「お水は実際にだからね」
 王子も言います。
「熱消毒したらね」
「いいからね」
「だからお湯を飲む様になったね」
「そう、そこでお湯が味気ないから」
「お茶を飲む様にもなったね」
「ティムールが率いる軍隊がそうだったんだ」
 お水をそのまま飲むと危ないので熱傷毒してお湯にしてから飲んでいてそれが味気ないので、だったというのです。
「そこからお茶が広まったよ」
「そうしたお話もあるね」
「そうだよ、それでね」
 先生はさらにお話します。
「泉鏡花もお湯を飲んでいたから」
「旅行先でもアルコールランプ持ち歩いていたんだ」
「そうなんだ、食べものはお豆腐が好きだったけれど」
「冷奴じゃないね」
「湯豆腐を食べていたんだ」
 ここでも熱消毒でした。
「冷奴は絶対に食べなかったんだ」
「やっぱりそうだね」
「湯豆腐は美味しいけれどね」 
 先生は少し笑って言いました。
「夏はね」
「あまり、だよね」
「どうにもね」
 王子に言うのでした。
「食べたくないね」
「熱いからね」
「暑い時に熱いものを食べるのもいいけれど」
 それでもというのです。
「それでもね」
「汗を思いきりかきたくないなら」
「食べたくないね」
「そうだよね、他の鍋ものもね」
「あとカレーライスやおうどんもね」
「ラーメンだってそうだね」
「日本は暑い時は冷たいものだね」
 そうしたものを食べるというのです。
「そして逆にね」
「今みたいなね」
「寒い時は熱いものだね」
「だから今湯豆腐はいいね」
「そうだよね」
 こちらはというのです。
「本当に」
「うん、あと豆腐とは書かなかったね」
「あれっ、どういうこと?」
「泉鏡花はね」
 またこの人のお話になるのでした。
「この人はね」
「そうだったんだ」
「豆府と書いたんだ」
「へえ、豆府ね」
「豆腐の腐は腐るだからね」
 そうなるからだというのです。
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