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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第56話 馬鹿なの阿呆なの死ぬの?
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おい、アイツ頭ぶっ飛んでんじゃねぇのか?? とか、誰か、警察呼べぇ?? と野次馬が騒ぐが、もう気にしない。
一般人がどれだけ頑張ったとしても、絶刃の前では全て無力に等しい……のですかね? まぁ取り敢えず、殺して蘇生すればヤクザでも黙るでしょう。

最悪、絶刃を使って、ヤツを殺す。

「……ついてこい。ボコしてやる」
「えぇ? 聞こえないですねぇ! もう一度お願いして良いですか?」
「ついてこい」
「……はぁい」

これは、面白いことになってきましたねぇ。


◇ ◇ ◇


「で、痛い目に遭う前に謝罪はあるか?」
「ないですねぇ。そちらこそ、命の恩人に感謝はありませんか?」
「……やれ。まずは指の爪を剥げ」

白髪ヤクザさんの事務所にお邪魔したら、直ぐに拘束されて血塗れの部屋に閉じ込められた。そして、慣れた手つきで椅子に拘束されて、現在拷問チックな事をされている。
白髪ヤクザの部下さんが、専用の器具を使って、私の手の爪を剥いでいく。

「……ほう。爪を剥がれても泣き叫ばないどころか、動揺一つしねぇとは……とんだイカレ野郎だぜ」
「ずっと拷問に耐える訓練は積んできていますから、痛覚なんてとうの昔にぶっ飛んじゃいましたよ。今の状態なら、きっと下半身とバイバイしても、痛くも痒くも無いんじゃないですかね?」
「へぇ。じゃあその通りにやってみるか。再生魔法が遣えるヤツを呼んでこい。てめえは切断してろ」

私の爪を剥いだ部下さんが、今度は魔法で表面を加工してある刃物で、ゆっくりと私の体を二つに割いていく。

痛く、ない。

「ホントに声一つあげねぇのかよ……」
「勿論です。これで終わりですか?」

完全に下半身の感覚が無くなったところで、自分で下半身を再生する。私の前下半身は適当に燃やしておいて欲しいですね。裏オークションに売りに出しても良いと思いますけどね。
服までは再生出来ないので、下は何も履いていない状態なのが本当に辛いです。今はまだ脚が解放されている状態なので、自分の秘部を隠す様に、椅子の上に三角座りしている様な体勢にする。

「……チッ。このイカレ野郎に痛みは効かねぇ。寧ろ逆効果だ。全員、この部屋から出ろ。後は俺がやる」

……まっさーかまっさーか。

「流石に“痛覚”はなくせたとしても、“快感”までは無くすこたぁ出来ねぇだろ」
「マセガキ……」
「誰が餓鬼だって? 残念ながら、俺はオトナなんだよ」

皆この思考に行き着くんですよね。まぁ、私もですけど。
“痛みで通じなかったら中途半端にキモチヨクさせる”。そうしないと、時間ばっかりが過ぎていく。

「んっ……??」


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