2nd season
15th night
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所だ。ただ……」
「ただ?」
「……あいつの変調に巻き込まれて、俺まで事故るわけにはいかない。あいつには逃げたと思われてるでしょうが、まだ俺には決着をつけなきゃいけない連中もいることですし」
「ま、あそこは一歩間違えれば死ぬ場所だ。ちょっとでも怖いと思ったらヒく、それも大事だな」
「ええ、どちらもあなたから教わったことです」
男が煙草をもみ消して立ち上がると、広瀬も同じように立った。
「わかった。まぁ元々興味はあったし、鉢合わせしたら軽く遊んでやるつもりではいたんだがな。ここまで出向いてくれたお前さんの頼みだし、本当にアイツだというなら、俺も少し気になる事がある」
「よろしくお願いします。ではまた」
「ああ。気をつけてな」
応接室を出た二人は、とりとめのない話をしながら工場の外へ出た。広瀬は男に一礼すると、愛車に乗って走り去っていく。それを見届けた男は携帯を取り出し、とある番号へかけた。
「もしもし、今大丈夫か?」
『ええ、毎度お世話になっております。大抵のことはメールですませるあなたが急に電話とは、何か見つけましたか?』
「例の車の件だが、ドライバーを見つけたのか?」
『ああ……ええ、いい腕をしながらも燻っていたみたいなので、ひとまずお試しで。何か問題でも?』
「……俺が面倒見てる若いのが嗅ぎ付けたみたいでヨ、本気で潰しに行くみたいだぞ」
『結構なことじゃないですか。それでダメならその程度でしかなかったということですよ。『D』を継ぐものであるなら、あの車であなたたち二人に勝てるくらいでなければ無意味に死ぬだけだ』
「……まぁ、お前さんがそれでいいなら、こっちは何もねぇ。ただちょっと事情があってな、悪いが俺達も本気で撃墜としにいかせてもらうぜ」
『ほう……それはそれで私の楽しみが増える。彼自身がどうなろうと、私には別に何の関係もありませんしね、思う存分暴れてくださって大丈夫ですよ。むしろこちらの想像以上の展開になりそうで、様々な意味で皆様には期待しています。』
「……ああ、そうかい。じゃあまたな」
『ええ、また何かあれば。失礼致します。』
男はどこか薄気味悪さを感じながらも、もう一人に電話をかける。
「……もしもし、今大丈夫か?……ああ、例の車の件だ……」
一方、一人になった広瀬は都内にある行きつけの喫茶店にいた。一人カウンターに座り、どこか上の空。
「……あの空気、絶対何か知ってるよなァ……まさか『D』に近づいたのか?あの野郎……」
友人でも何でもない、たまたま同じエリアで同じくらいの成績を叩き続けただけの、交わることのないライバルともいうべき間柄。そんな彼が自分より先に伝説に近づいたのかもしれない。そう思うだけで、奇妙な焦燥感のようなものが彼を駆り立てる
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