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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
危険な盗賊退治(シャンパーニの塔にて)
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て無理だって不安に思ってたけど、なんかいけそうな気がしてきた」
「だろ? 人間なんでもやってみなきゃ、わかんねーもんなんだって。この勢いで、カンダタもやっつけてやろーぜ!」
 ナギの意気込みに、離れていたシーラも「おー!!」と掛け声を上げる。私も思わず右手を上げて同じように声を出した。
「誰がおれをやっつけるって?」
 突如、部屋に低く響く声。戦慄が走ったとはこのことだろうか。無意識に全身が総毛立つ。
 直感でわかる。できるなら戦いを避けたい相手だということが。
 部屋の奥にある階段を、ゆっくりと降りていく音が聞こえた。その足音が近づくたびに、私の足は震えを増していく。
 チラッとナギを見たが、私のように足が震えてたりはしなかった。けれど、表情はさっきまでの余裕はないように見える。
 シーラはいつものおちゃらけた様子ではなく、おびえたように階段の方をじっと見つめている。
 私の頬に一筋の汗が伝い落ちた時、階段に歪んだ人影が見え、それはやがて実体を連れて私たちの前に現われた。
 その男は、他の盗賊とは一線を画していた。部屋を圧倒するほどの威圧感や殺気はもちろんなのだけれど、なんというか風貌がだいぶ変わっていた。
 他の盗賊が着ていた服もシャツ一枚とズボンいうシンプルな格好だったが、この人はそれを上回っていた。というかシャツすらない。つまり、上半身裸。
 その上、頭には個性的な覆面を被っており、顔は全く見えない。二つの穴のむこうにある両の目が、彼の表情をうかがい知ることの出来る唯一のパーツだった。
 その奇妙な出で立ちが逆に、得たいのしれなさを醸し出していた。
「おれがそのカンダタだが、お前らは一体何者だ?」
 カンダタと名乗る男が、唸るような声で聞いた。右手には、大振りの斧が握られている。
 ナギが一歩前に出て、カンダタに言った。
「お前がロマリアの城から王冠を奪ったって言う話を聞いて、オレたちはそれを取り返しに来た。おとなしく返してくれれば、見逃してやる」
 すると、カンダタは肩を大きく震わせ、豪快に笑い始めた。覆面をしているので表情は良くわからない。
「はっ。おれの手下を倒したからって、いい気になるんじゃねえぞ!! 王冠は渡さねえ。返してほしかったら力づくで奪いな!!」
 そういうと、手にしていた斧を壁に向かって思い切りぶん回した。壁は風圧で獣の爪あとのように抉られていた。
 ど、どうしよう……!!
 カンダタが私たち相手では太刀打ちできないことがいまさらながらわかった。たぶん、他の二人も同じように思っていただろう。それほどに、カンダタの今の一撃は私たちの精神にダメージを与えてくれた。
「そ、そんなもんでビビるかよっ!!」
 ナギはしまっていたナイフを出し、カンダタに向かって攻撃した。だが、あっさりとかわされ
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