第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
危険な盗賊退治(シャンパーニの塔にて)
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ってくる塔の魔物を追い払ったり罠で足止めしながら2階、3階と上っていくうちに、だんだん外の景色が変わってきた。どうやらいつの間にかずいぶん高いところまで上っていたらしい。
けれど、盗賊はおろか人間の姿すら発見できずにいた。
「くっそー!! 一体どこにいるんだよ、カンダタとか言う盗賊はー!!」
ナギは走りながら、誰にともなく盗賊の名前を呼んだ。そういえば私たち、カンダタって言う盗賊の顔すら知らないんじゃなかったっけ?
やがて、上り階段も見当たらなくなり、ここが最上階だと思わせるような一枚の大きな扉が、私たちの行く手を阻んでいた。
「もしかしてこの奥……?」
「だろうな。相手はどんな武器を持ってるかわかんねーし、油断すんじゃねえぞ」
いつになく真剣な面持ちで聖なるナイフを構えるナギは、なんだか急に頼もしく見えた。
私も負けじと身構える。シーラは相変わらずにこにこしながらお手玉とかやったりしてるけど、私たちと扉の間には張り詰めた空気に包まれていた。
観音扉の片方の取っ手に手をかけたナギがゆっくりと口を開いた。
「じゃあ、開けるぞ」
私は小さくうなずく。同時にナギの手が動いた。
が、扉は動かない。
「あれ?」
押せども引けども、扉は一向に開く様子はない。さっきまでの緊張感が一気に霧散した。
「何で開かないんだ?」
言いながら、扉を何とかあけようと鍵穴らしき場所を弄るナギ。私はこの光景を、前にもどこかで見たような気がした。
「ひょっとして、その扉も『盗賊の鍵』を使うんじゃない?」
「へ……、あ、そうか! そういうことか!!」
ナギもその存在を思い出したらしく、ぱっと手を離す。
そこにお手玉をやり終えたシーラが横から口を挟んだ。
「えー、でもそれってユウリちゃんが持ってなかったっけ?」
『え』
しーん。
……そ、そうだった! 忘れてた!!
「どっ、どうしよう!! ユウリがいなきゃこの扉開けられないよ!!」
慌てふためく私に、ナギは人差し指を口元に当てて静かにしろと制した。
「まあ待て。一応オレだって盗賊の端くれだ。そんな道具なんぞに頼らなくてもこんな扉の一枚や二枚、盛大に開けて見せるぜ」
そういって、座り込んで懐から道具を取り出し鍵穴を覗き込もうとしたときだ。
ばぁんっ!!
ナギがしゃがんでいる反対側の扉が勢いよく開け放たれ、中から一人の男が現われた。
「さっきからガチャガチャうるせーんだよ!!」
私たちに怒鳴り散らすその男は、ボロボロのシャツに動きやすいズボン、腰には短剣と、いかにも盗賊と思わせるような格好をしていた。
もしかして、この人が王冠を盗んだ盗賊なんだろうか? けれどどちらかというと、盗賊の下っ端っていう感じに見える。
「あんたがカンダタか?」
「な
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