1st season
2nd night
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走る。
「おっ……くくくっ、この感じ、ちっとはできる奴かな?」
ゆっくりとその気配を待ち、相手に車体を合わせるべくギアを落として待つ。
そこに現れたのは、銀色のアコードCL7。「Fine Racing」のリーダー「流離いの天使」が単騎で疾風に襲い掛かる。
「本来こういうのはガラじゃないんだけどな……一応看板揚げてるし、下がやられたら出てこないわけにはいかないだろって」
速度を合わせ、緩い右を抜けると、お互いにアクセルを踏みつける。特徴的なVTECサウンドとロータリーサウンドが響きあった。まずはアコードが後ろにつく。
「さぁ、どれほどのモンか、見せてもらおうか!」
「へぇ、やるじゃん。ほかの奴らよりは歯応えがありそうだナ」
疾風の中で消えかけていた闘争心に火が付いた。しかしお互いにトップスピードに難がある以上、ここから続く高速ステージでは二台とも車が辛そうに見受けられる。
「命を載せて走る以上、一番好きな車で行くのが当然……あのオッサン、いつもそう言ってたヨ」
高らかに雄叫びを上げる二台に、湾岸線へ入る直角の右が襲う。天使が内に入り、疾風が外に寄せての突っ込み勝負。わずかに天使が前に出るが、完全には抜ききれない。
「このコーナーを抜けたら、小細工なしのパワー勝負……っ、まずい!」
コーナーを立ち上がり、湾岸線合流。二台が更なる雄叫びをあげ、地面を蹴飛ばす。すると、何か不調でも発生したのか、RXー8がスローダウン。
「そうか、ここまで連続でバトルしてたから……仕方ねェ、今夜はここまでだ」
そのままRX-8、失速。巡航速度に戻った後、高速を下りる。
「あのアコード、今度会ったら撃墜とす……!」
スローダウンした疾風を尻目に走り去る天使。するとその後ろから猛追してくるマシンが一台。
「っ、何だ……この感じ……!?よくわからんが、すげぇのが来るっ……!」
臨戦態勢に入った天使だが、それをあざ笑うかのように抜き去っていく一台のマシン。
「なんで、こんなところでそんな奴転がしてんだよ……」
一瞬だけ目に映ったそのマシンは、ワインレッドのジャガーXK8だった。まるで目の前には何も写っておらず、彼でさえアザーカーだと言わんばかりに圧倒的なスピードで置き去りにしていった。
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