2nd season
14th night
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い」
同じ言葉を、今度はさらに強い口調で放つ。二人に何か燻っているものがあるのは彼もわかっていたが、それだけではただの時間の無駄だと、彼も幾多の客を相手にして知っているからだ。
「…………それでも、聞いてくれますか?」
「OK、聞こう」
しかしそれでもなお、燻るものを抑えきれない二人は柴崎に告げる。彼はその本音を蹴り飛ばすことはしないと、短い時間でもわかったからだろう。柴崎も先を促す。
「俺達は楽しかったです。仲間と一緒に走れて。リーダーも良くしてくれて、だんだんと速くなれて」
「でも今回の件で思い知りました。楽しいだけじゃダメなんだって。速くなきゃ───いえ、強くなきゃ生き残っていけないんだって」
「……強くなって、生き残って、それからどうするんだ?」
「分かりません……でも、このままじゃ終われないんです」
「このままじゃきっと俺達、一生引きずってしまう気がするんです。先は見えないし何を目指せば良いか分からないけど、それでもどうにかケリを付けないと先に進めないんです」
弱々しく、それでも芯のある言葉。柴崎は2人の目を見る。その目はもはや燻った若者の目ではなく、闘志を持った2人のランナーとして光っていた。彼らも若いなりに様々なバトルをこなし、本人たちも気付かないうちに成長していたことを、柴崎は悟った。それでもなお、二人を詰める。
「明日にでも死ぬかもしれないぞ?」
「……それも1つの決着です。俺達がそこまでの走り屋だったってだけです」
「でも俺達は降りません。降りようと思いません」
「答えを、見つけるまでは」
柴崎は僅かに、ゆっくりと微笑んだ。若者だと思っていた2人の覚悟を聞き、久々に楽しくなりそうだと。
「……いいだろう、合格だ」
「……!」
「ただし、こっちとしても思惑がある。ウチが関わる以上は死んでもらっては困るし簡単に負ける事も許さん」
「はい……!」
「それと、そのマシンは置いていけ。君達が[この先]に行きたいならそのマシンでは無理だ」
「分かりました……でも、何に乗れば?」
「心当たりがあるから心配するな。三日後、また店に来るといい」
「はい、ありがとうございます!」
二人が柴崎に頭を下げて店を出てから数刻後。柴崎は事務所の電話を手に取り、ナンバーを打ち込む。4コール後に繋がったそれは、軽く酔ったような調子で言葉を交わす。
「もしもし、どうかしたかー?」
「お疲れ様です、柴崎です。社長、例の計画の人材見つかりましたよ」
「おぉ、流石だな柴崎。どんな奴だ?」
「C1で走り回ってたエボとインプの2人です。あの[天使]の下にいた人間では一番伸びてますし、二人なら丁度いいかと」
「ふむ…………デキるのか?」
電話口の相手が酔った雰囲気から一
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