暁 〜小説投稿サイト〜
Unoffici@l Glory
2nd season
14th night
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
規が来ない分整備だメンテだで金を入れてくれるのはいいが、無茶だけはしてほしくないねぇ」

 店のオーナーとしても、あの場所に関わってきたドライバーだった身としても、いろいろと複雑な気分なのか、すっきりとした表情には見えない。

「そうだ、お前さん、そろそろあのじゃじゃ馬にも慣れてきた頃だろうと思ってな?」
「ええ、まぁ」
「もっとクセの強ぇじゃじゃ馬を仕入れたんだ。乗り換えるかい?『D』を拝むために」
「いいんですか?」
「ああ。うちの看板にさせてもらってるし、もうすぐ日本から出なきゃいけないんだろ?最後にコイツを乗り回してもらいてぇと思ってな」

 そういって彼が青年に見せたのは、艶かしさすら感じさせる流線型のボディに、小さく丸い6つ目のヘッドライト。一度見たら忘れようのない、まさに英国面な一台であった。

「……本当にコイツに乗せてもらえるんですか?」
「ああ。きっちり踏んでこい。乗りこなせれば、今走り回ってる連中は食い散らかせるだろう」



「柴崎さーん!」
「どうしたー!?」

 同日夜、都内某所にあるチューニングショップR4A。表の営業時間も終わろうかと言う頃、柴崎はいつもの仕事を片付けていると、若いメカスタッフが彼を呼んだ。

「柴崎さんにお客さんですー!」
「了解ー、少し待ってもらってくれー!」

 ピットの水道で手の汚れを洗い流し、バインダーを閉じる。こんな時間に彼を尋ねてくる客はあまり多くない。彼の中で適当な予想を立てながら柴崎は販売室に向かう。そして客の顔を見て、全てに納得がいった。

「こんばんは柴崎さん。突然お邪魔してすみません」
「いらっしゃいませ御二方。何かお求めですか?」

 柴崎は一礼ついでにチラりと駐車場を見る。見知ったインプレッサ22BとランサーエボリューションX。以前アメ車集団のバトルの時に挨拶に来た、あの2人である。

「あの……」
「分かってるよ、買い物に来た訳じゃないんだろう。何か込み入った話があって来た、そうだな?」
「はい、そうです」
「了解。ちょっと応接室を使おうか。それともガレージの方が落ち着くか?」
「あ、ガレージで大丈夫です」
「それならそっちで。さすがにこの格好で応接室のソファに座ったら社長にド突かれるからな」

 汚れたツナギをつまみ、柴崎は皮肉に笑ってみせた。それでも2人は笑わず、少し不安な目が揺れる。柴崎は踵を返し、ついてくるようにジェスチャーした。



 R4Aガレージ。入口のシャッター横で座り込み、三人はどうでもいい話から入る。
 相変わらず2人で走り回っていること。
 RX−8がC1で猛威を奮っていること。
 NSX−Rが全エリアで暴れ回っていること。
 アメ車集団は引き上げていったこと。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ