ターン10 熱血!青春!大暴走!
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デュエルポリス2人が七宝寺から八卦が帰宅していないとの知らせを受け取った、ほんの少し前。糸巻らの元を後にした、それからの少女の足取りを追ってみよう。その純真さとポジティブ思考は自分がうまいこと締め出された、などという可能性には少しも結びつかず、敬愛する「お姉様」の言葉に従いいったんは家の方角に向け歩き出したものの、ほんの数歩も進まないうちにその足が止まってしまった。
「(あんなに喜んでもらえるなんて、思わなかったな。お姉様、実は怪談とか好きな人なのかな?)」
ほんの話の種になれば、そんなつもりで持ってきた幽霊騒動に関するうわさ話は、少女の想像を超えて糸巻らの興味を引いていた。しかしその真意がまるで予想もつかない少女は無邪気に、幽霊という言葉に対し彼女らが食いついたのだとすっかり思い込んでいた。日が傾いているとはいえまだ夜にはわずかに時間があり、小さな背中を押す太陽の残滓が少女の心に余計な弾みをつける。
「(今から私も、この図書館のあったところに行ってみようかな?もしかしたら、幽霊さんに会えるかもしれないですし。お姉様の調査のお役に立つものが見つかるかも!)」
そうと決めれば、若い少女のフットワークは軽い。学校帰りの女の子にしか見えない彼女はあくまでもごくありふれた学生でしかなく、いつもの帰り道とはまるで違う方向にふらりと踏み込んだ人影に注意を払うものは誰もいなかった。
いくつもの路地を越え、信号を渡り。歩くにつれてまばらになってゆく周りの人影と比例するかのように、太陽の面積も小さくなってゆく。少女が目的の場所にたどり着いたときには既に、その上端がわずかなオレンジの光をどうにか浮かべているのみ。すぐ後ろまで忍び寄っていた夜の気配に多感な少女は身震いして躊躇するも、敬愛する彼女の顔を思い浮かべて自問自答する。お姉様ならば、夜になったからといって躊躇するようなことがあるだろうか?いや、答えはノー、だ。ならば、自分がここで躊躇するわけにはいかない。そんなことでは、いつまでたっても追いつけやしない。
当然それは、勝手な思い込みでしかない。もしこの場所に当の糸巻本人がいれば、血相変えて止めに入ったであろう。しかしその彼女は現在、煙草を片手に大量の検挙記録を目を皿のようにして睨みつけている真っ最中だ。
「(……す、少しだけ。鍵がかかってたら、そこで帰りましょう)」
そうは言っても、怖いものは怖い。迷った末に妥協案を心に決めて封鎖された裏門に回り込み、それを乗り越えて音もなく着地。かつて司書たちが使っていたのであろう勝手口のドアノブを掴み、そっとひねる。彼女にとって幸か不幸か、そのドアは開いていた。油がしっかりと残っているのかすんなりと開いたドアの前でまたもや固まるも、気を取り直してその体を屋内に滑り込ませる。きっちりとド
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