『ルイズが召喚したのが、パウワウだったら?』
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真っ白。
それがルイズの最初の印象だった。
学院に設けられた、水系の生物の使い魔を飼育するための場所にルイズが近づくと、その白い生き物がすぐに顔を出してくれる。
とびっきり美味しいお魚があるわよっと言って、魚が入ったバケツを見せると、縁に上がったその生き物が、尻尾で立ってパンパンとヒレのような手を叩いた。
真っ白なその生き物の名は、パウワウ。
学院に勤めているメイドのシエスタが教えてくれた。タルブ村に隣接する海の岩場でたまに見かけられる水棲の生き物らしい。
本来は、冷たい海の方にいるそうだが、元々はシエスタの曾祖父がどこからか連れてきた不思議な動物で、曾祖父が亡くなる前に海に放し、そのまま繁殖、しかし思い出したようにたまに子孫達が帰ってきては姿を見せると言われているそうだ。
成長するとジュゴンという、氷さえも操る強力な生き物になるそうだ。
あなたも、シエスタの曾祖父が懐かしい?っと聞いても、パウワウは答えられないし、魚に夢中で全然聞いてない。
愛らしい見た目も相まって、ルイズは、ついついパウワウを甘やかした。
結果、通常の個体より、ぷくぷくに太ってしまった。住まわせている環境が狭いせいで運動不足も祟っていた。
太っちょのマリコルヌに馬鹿にされた時は、さすがにルイズも焦り、ダイエットさせる!っと決めた。
陸に引っ張り上げて、芸をさせるなどして躾けるが、面倒くさそうにコロコロと転がるばかりで言うことを聞かない。
かといって、餌をあげなかったら、他人の魚の使い魔を食べてしまうのだ。
ルイズがどうしたものかと考え込んでいると、シエスタが一件を案じ、タルブの海へ連れて行きませんか?っと提案した。
嫌がるおデブなパウワウを馬に荷物のように乗せて、シエスタを借りるという書類を提出して、タルブの海へ向かった。
意外にも力持ちなシエスタに運ばれて、おデブなパウワウは、久しぶりの海へと連れて行かれて驚いていた。
そして近くの岩場に、仲間のパウワウがいると気づき、パウ〜パウ〜っと鳴いた。しかし、相手のパウワウは、ジトッとこちらを見ると、すぐに海へと逃げていった。
おデブなパウワウは、落ち込んだ。どうやら、人間には分からないが、おデブなことを指摘されたっぽい。なんとなく雰囲気で分かった。
ルイズが、パウワウに目線を合わせて、分かったでしょ?というと、おデブなパウワウは、コクリッと涙目で頷いた。
それからは、毎日ダイエットのための運動を欠かさなかった。
学院のプールを借りて泳がせたり、ついでに芸も仕込んだ。
そのおかげか、パウワウが美しく成長した。
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