第四章
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「余程」
「と、いいますと」
「人の悪いところをあげつらう」
このことを言うのだった。
「それもあれやこれやとな、見てな」
「それが偉いのですか」
「そうだ人として偉いのだな」
「そのつもりはないですが」
「少なくとも高慢になっている」
そうしたところがあるのは事実だというのだ。
「だからだ」
「このこのとはですか」
「そうだ、あらためるべきだ」
まさにというのだ。
「ここはな」
「ではこれからは」
「人のことを見るのはいい」
このこと自体は構わないというのだ。
「だがその人の全てを見るのだ」
「悪いところと、ですね」
「そうだ、いいところもだ」
そちらもというのだ。
「見てこそだ」
「人を見ることだ」
「そうなのだ。さもないと人はわからない」
到底というのだ。
「だからな」
「これからはですか」
「そうするべきだ、あとだ」
「あととは」
「自分はどうか」
このことも言うのだった、子貢に。
「一体な」
「私自身ですか」
「そうだ、人を見ることも必要だが」
その器や人格、学識等を見極めることがというのだ。そしてもっと言えば子貢が見ている短所とそれと表裏一体の長所もだ。
「しかしだ」
「それだけではなく」
「そうだ、そなた自身がどうか」
「このことがですか」
「最も大事だ」
「では人を見るよりも」
「まずは自分だ、世の中説教が好きな者もいるな」
子貢を見つつ言うのだった。
「そなたは短所を言うが」
「はい、あれやこれやと言う者がいます」
「そうした者はどうだ」
他人に説教をすることを好む者はというのだ。
「自分は。そなたならわかるな」
「何でもありませぬ」
子貢は孔子に即座に答えた。
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