第一章
[2]次話
弟子への忠告
孔子はある時人にこんなことを言われた。
「貴方の多くの弟子で最も頭の回転が早いのは誰でしょうか」
「子貢ですな」
孔子はその人にすぐに答えた。
「頭の回転ですと」
「あの御仁ですか」
「はい、とかくすぐにです」
孔子は人に話した。
「気が付いて即位妙塔で返し」
「商才もありますね」
「はい」
その通りだとだ、孔子は答えた。
「何かと。そして人や世についてもです」
「一家言ありますな」
「とかくです」
子貢、彼はというのだ。
「頭の回転が早い者です」
「貴方の弟子の中で」
「学識なら顔回、勇気なら子路ですが」
孔子の最も有名な弟子達である。
「頭の回転ならです」
「子貢殿ですか」
「あの者の右に出る者はおりませぬ」
そこまでの者だというのだ。
「まさに」
「左様ですか」
「はい、ですから機転やすぐに考えを聞きたい時は」
その時はというと。
「あの者に聞くことにしています」
「貴方にしても」
「頭の回転は誰にも負けませぬ」
自分の汁限りというのだ。
「ですから」
「そうですか、では私も」
「何かあればですね」
「子貢殿にお話を聞きます」
「そうされるといいです、ただ」
ここでだ、孔子は少し微妙な顔になった。
そのうえでだ、こう人に言った。
「あの者は過ぎます」
「過ぎるとは」
「頭の回転がです」
まさにそれがというのだ。
「そしても目も良過ぎます」
「目もですか」
「頭も目も」
その両方がというのだ。
「それが問題です」
「いいことではないですか」
人は孔子のその言葉を聞いて笑顔になって述べた。
「頭だけでなく目もとは」
「良過ぎることがですか」
「はい、それ程の方とは」
「いえ、中庸です」
孔子は先程よりも微妙な顔になって人に答えた、声もそうなっている。
「それが大事ですから」
「よく貴方が言われていることですね」
「何事も程です」
「偏ってはならずですね」
「過ぎてもよくありません、人は弱いものですから」
それ故にというのだ。
「ですから子貢はです」
「その過ぎるところがですか」
「私は心配なのです」
師として、というのだ。
「どうにも」
「そうなのですか」
「あの過ぎるところをどうにかしなければ」
「よくないのですね」
「あの者にとって」
「ううむ、どうも私には」
その人は顎を手に当てて難しい顔になった、そのうえで孔子に述べた。
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