第四章
[8]前話
「わしはもうすぐしたら死ぬぞ」
「ははは、そんなことを言って」
「もっと長生きするよ祖母さんは」
家族は老婆のその言葉に笑って返した、だが老婆は程なくしてぽっくりと死んだ。
山田の娘の病は治りこれまで通り明るい暮らしに戻れた、閻魔はそのことを見ながらそのうえで牢に入っている今回の話の元凶の役鬼を呼んで彼に言った。
「あの娘はこの通りな」
「元気になりましたか」
「ぞうじゃ、後で地蔵尊にお聞きしたが」
自分と縁の深いこの仏にというのだ。
「お主があそこで馳走を食ってな」
「あの娘がああなることはですか」
「定まっておったらしいわ」
「そうだったのですか」
「うむ、さだめなら仕方ない」
こう彼に言うのだった。
「だからな」
「それで、ですか」
「あの娘のことは不問にする」
牢に入れその間飯抜きとしたことはというのだ。
「その様にな、しかしな」
「これからはですね」
「あの様なことはない様にせよ」
門の左右に置かれているまじないの馳走をふらふらと平らげることはというのだ。
「よいな」
「以後気をつけます」
「これからこうしたことがない様にだ」
閻魔はさらに言った。
「迎えの者達には飯を持たせてな」
「そのうえで、ですか」
「今後こうしたことがない様にする、そもそもお主達は役鬼でじゃ」
「疫病神ではないですな」
「だからそうするとしよう」
こう言ってだ、そしてだった。
閻魔は早速役鬼に仕事を命じた、役鬼は飯を持ってすぐにその仕事に向かった。讃岐国今の香川県に残る古い話である。
蘇った女 完
2018・12・2
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