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花の妖精
第三章

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 チューリップの方だった、それで二人で球根の方を見るとだった。
 そこにチューリップの葉の形の緑のドレスを着た赤い髪の少女がいた、身体の大きさは十センチ位だ。その彼女が言ってきたのだ。
「私が言ったのよ」
「あれっ、ひょっとして妖精?」
「見てわかるでしょ」
 これが返事だった。
「そんなことは」
「妖精って本当にいたんだ」
「自分の目を信じることよ」
 妖精はいぶかしむ雄二にこう返した。
「その目をね」
「それはそうだけれど」
「ちなみにあんた達二人共酔ってないわよ」
 妖精は若菜にも言った。
「素面よ」
「それは僕もわかるから」
「私未成年ですし」
 若菜はこう返した。
「これでも真面目にお酒も煙草もしてないですよ」
「麻薬もなのね」
「犯罪ですよ」
 麻薬についてはだ、若菜はむっとした顔で言葉を返した。
「問題外です」
「本当に真面目ね」
「というか常識ですよ」
「世の中その常識がない人も多いのよ」
「よくないことですね」
「だから警察もあるのよ、ただ」
 ここでこうも言った妖精だった。
「あんた達に言いたいのはそうしたことじゃなくて」
「チューリップのことだね」
「お花の妖精としてね」 
 妖精は自分が何の妖精であるかも言った。
「どの球根を買えばいいかね」
「教えてくれるんだ」
「そうよ、はっきり言うけれど」
 少女は雄二達を見上げて話した。
「あんた達かなり親しく付き合ってるわね」
「はい」
 その通りだとだ、若菜が妖精に答えた。
「六月に結婚します」
「ジューンブライドね、だったらね」
「それならですか」
「もうね」
 それこそと言うのだった、妖精にしても。
「春は桜もあるけれど」
「チューリップもですね」
「このお花もだから」
 それでというのだ。
「春に一緒に観ながら愛を育むものでしょ」
「六月に向けて」
「勿論結婚してからも大事だけれど」
「その前もですよね」
「わかってるわね、あんた」
「そうだったらいいですね」
「これはいいお嫁さんになるわね。それなら余計にね」
 妖精は今は若菜を主に観つつ話した。
「お花には気をつけないとね」
「そうなりますか」
「あらためて言うけれど」
 妖精は再び若菜そして雄二に言った。
「この場合は男は白でね」
「女の人は赤だね」
「そうよ、黄色や紫もいいし最近は青もあるけれど」
 それでもというのだ。
「一人一つずつならね」
「僕が赤で若菜ちゃんが白で」
「カップルよ。ただね」
「ただ?」
「一つだったらね」
 この場合についてもだ、妖精は話した。
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