暁 〜小説投稿サイト〜
大阪のうわん
第四章

[8]前話 [2]次話
「教会にいつも遊びに来ている」
「それでお話が済みますか」
「日本なので。まあとにかくうちの教会にはです」
「妖怪さんがですね」
「います」
 また晃に話した。
「この通り」
「そうですか」
「はい、そして」
 神父はさらに話した。
「お二人はさっき教会の前を通られましたか」
「はい」
 朝美が神父に答えた。
「実は」
「その時うわんと言われましたね」
「はい」
 その通りだとだ、朝美は神父に答えた。
「先程」
「そうですね、やはり」
「わしの習性でな」
 妖怪が言ってきた、当の彼が。
「棲み処の前を人が通るとな」
「その時にですか」
「うわんと言う、それでうわんと相手が言わないと」
 棲み処の前を通った人がというのだ。
「その時はな」
「どうなるんでしょうか」
「他のうわんは知らんがわしは顔を出して驚かしている」 
 その棲み処からというのだ。
「そうしている」
「そうでしたか」
「しかしうわんと言うとな」
「通りがかった人がですね」
「その時は何もなしだ」
「そういえばあの時私達は」
「思わずうわん?って言ったね」
 晃がその時のことを思い出して朝美に話した。
「そうだったね」
「ええ、そうよね」
「だからだね」
「私達の前にお顔を出さなかったのね」
「そういうことだな」
「そのせいでこの教会はびっくり教会とも言われています」
 神父は今度は苦笑いで話した。
「びっくり箱ではなくて」
「びっくり教会ですか」
「はい、その様にです」
 言われているとだ、朝美に話すのだった。
「この辺りでは」
「そうですか」
「しかし驚かすだけだ」
 うわんはこのことは断った。
「それ以上のことはだ」
「しないのですね」
「妖怪は人を驚かすものだ」
 朝美にこうも言うのだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ