第一幕その一
[1/2]
[1]次 最後 [2]次話
ドリトル先生と姫路城のお姫様
第一幕 姫路城
先生は日本そして神戸に入って結構な歳月が経っていることを自覚しています、それで神戸にある自宅でも言うのでした。
「日本に来て随分経つね」
「うん、もう数年になるね」
「気付けば長く住んでるね僕達も」
「大学の教授に誘われて就職してね」
「移り住んだけれど」
「気付けばもう数年経ったわ」
動物の皆も言います。
「長いわね、そう思うと」
「この数年あっという間だったけれど」
「数年経ったって思うと」
「本当に長いわね」
「そうだね、最初から日本に馴染めてね」
作務衣の上にどてらを着て暖かいお茶を飲みつつ言う先生でした、ただ足は毛糸の生地の靴下となっています。
「よかったけれどね」
「馴染み過ぎ?先生は」
「すっかり日本にね」
「今だって作務衣にどてらだし」
「飲んでるのも番茶だしね」
「うん、もうイギリスに戻ることはないと思うけれど」
先生が思うにはです。
「それでもね」
「日本に来てもう数年」
「長く暮らしている」
「そのことに感慨を感じているのね」
「そうなのの」
「そうだよ、思えば遠くへ来たものだってね」
こうも言う先生でした。
「日本の歌であるけれどね」
「先生も僕達もね」
「すっかりそうなってるね」
「いや、イギリスから日本まではるばる来て」
「それでずっと住んでいる」
「そうなってるね」
「人の一生はわからないというけれど」
先生はしみじみとした口調で言いました。
「本当にそうだね」
「全くだね」
「全く以てね」
「まさかイギリスから日本に来てね」
「何年も済むとか」
「王子が私達にすき焼きをご馳走するまで夢にも思わなかったし」
「そうそう、すき焼きもね」
先生はこのお料理についても応えました。
「それまで食べたことなかったけれど」
「美味しいよね、すき焼き」
「お肉にお葱、お豆腐に糸蒟蒻に茸に麩に」
「色々入っていてね」
「お醤油とお砂糖の味付けもよくて」
「凄くいいよね」
「あれも食べられることがね」
まさにというのです。
「素敵だよ」
「そうだよね」
「日本のお料理にも馴染めているし」
「日本に来てよかった」
「感想としてそうね」
「うん、日本に来て本当によかったよ」
先生は満面の笑顔で言いました。
「じゃあね」
「それじゃあだね」
「これからもだね」
「先生は日本で暮らしていくんだね」
「この神戸で」
「そうしていくよ、不満なんてね」
今の先生にはです。
「何もないからね」
「だからだね」
「余計によね」
「幸せに過ごしていくね」
「この日本で」
「これからもずっとね」
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ