第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十二 〜襲撃〜
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殺気が高まる。
「ほう? 貴様、今何と言った?」
「……私を悪く言うのは構わぬ。が、我が麾下を貶めるその雑言、許せぬ」
国広を抜き、構える。
「な、ひ、土方まで!」
「くそっ、こうなりゃ二人とも片付けちまえ!」
「出来るのか? お主らの腕で?」
「う、うるせぇ!」
男達は喚きながら、一斉に斬りかかってくる。
「愛紗、下がれ!」
「は、はっ!」
懐から取り出した球を、連中へと投げつけた。
破裂音と共に、それは割れる。
忽ち、男達が粉に塗れた。
「な、何だこりゃ!」
「眼が見えねぇ!」
「眼、眼が痛ぇ!」
戦いどころではない男達。
私は素早く駆け寄り、国広を振るう。
「ぐわっ!」
「ギャーッ!」
喉を斬られた男達、無論ほぼ即死であろう。
「愛紗。こちらは私に任せよ」
「御意!」
日本刀など慣れぬ筈だが、早くも扱いを心得たようだ。
流石は関羽、といったところか。
既に三、四人、斬って捨てている。
「土方! 何をしやがった!」
別の男が怒鳴る。
「大したものではない。唐辛子の粉を詰めた、破裂弾だが?」
「卑怯だぞ! それでも、義勇軍の大将かっ!」
「ほう。では問うが、数を恃んでの闇討ちは、卑怯ではないのか?」
「……だ、黙れっ!」
「ふ、己の論法が通じないとわかれば、今度は恫喝か。見下げ果てた奴だ」
「おいっ! 遠巻きにして、射殺せ!」
敵わぬと見たか、今度は弓を持ち出してきた。
切り払うには、ちと厳しいか?
「ご主人様!」
それでも、私を庇うかのように、愛紗が立ちはだかる。
「死ね!」
一斉に、矢が放たれた。
……筈であった。
「お、おい、どうした?」
その中の一人が、不意に倒れる。
その背には、矢が突き刺さっている。
そして、空気を切り裂く音が、続く。
「ぐふっ!」
次々に飛来する矢が、確実に男達を仕留めていく。
「……兄ぃ!」
恋が、駆け寄りながら弓を射ていた。
流石、飛将軍の名は伊達ではないようだ。
「愛紗! これを!」
他方から、星の声。
放り投げられたそれは、まさしく青龍偃月刀。
「済まない、星!」
相当の重量がある得物だが、愛紗は苦もなく受け取る。
「お兄ちゃんは、鈴々が守るのだ!」
「鈴々! 一人も逃すなっ!」
「合点なのだ! でりゃりゃりゃりゃっ!」
絶え間なく放たれる恋の矢に加え、三人が縦横無尽に暴れ回り始めた。
こうなれば、もはや手の打ちようもあるまい。
「だ、ダメだ! おい、逃げろっ!」
「逃す、とでも思うか?」
首領格と思しき
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