『天才』の足跡〜その一〜
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済まない、母さん」
小さく、他に人が居たとしても聞き取れないような音量で、ボソリとつぶやく。
私はその包丁を両手で持ち、男の所まで戻ってくる。
「……グオォォォォォ…………グオォォォォォ…………」
「…………ハッ」
これから私がしようとしていることと、目の前の光景のギャップに、思わず笑ってしまった。
方や、呑気にイビキをかいて寝ている男。
方や、その男を殺そうとする、実娘。
「…………子は親を選べない…………だが、親も子を選べないってか…………?」
私は男の左胸に一度包丁の先端を当て、狙いを定める。そして、ゆっくりと振り上げる。
「『私』が産まれたこと…………後悔しな…………っ!」
そして、その包丁を、勢いよく振り下ろした──。
その後、私は。
笑っていた。
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