『天才』の足跡〜その一〜
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、言いな」
警戒心は持ったまま、男に名前を聞き出す。
「僕の名前は、神谷 大輝。しがない提督だよ」
─カフェ─
「………つまり、あれか。私に深海棲艦と戦う、『艦娘』になれって?」
「端的に言うとそうだね」
男──神谷大輝は、注文したコーヒーを飲み、私の顔色を伺っていた。
私は、神谷に手渡された資料をパラパラとめくり、大雑把に概要を掴んでいく。
──世界を恐怖のどん底に叩き込んだ、海の支配者「深海棲艦」。
それらと戦う術は、女にしかなることの出来ない、「艦娘」しかおらず、通常の兵器では、足止めにすらならない。唯一、(人間の最大の過ち)のみ、通用するとされている。
この事は全世界での共通認識とされており、世界で一番艦娘の数が多いこの日本は、国際社会での地位を向上させている側面もある。
「……んで、いくら貰えんだ?」
「月給最低五十万が、御家族と君自身に。出撃一回に付き、特別手当が最低十万。これは全鎮守府共通。いかなる鎮守府でも、これは守られている。ただまぁ、艦娘になったら基本鎮守府住まいだし、忙しすぎて買い物する暇もそんなに無いけどね」
私のストレートな質問にも、ほとんど何も隠さず、スラスラと答えていく目の前の男。胡散臭くはあるが、まるっきり信用出来ない、ということはなさそうだった。
「……で、なんで私なんだ?」
ここで、私は確信をつくような質問を投げかける。
言ってしまえば、これは私じゃなくても良かったはずだ。それこそ、私のような境遇の女の子など、世界中にゴロゴロしているはずだ。
それなのに、私だ。
そこだけは、どうしても不可解だった。
「それは簡単。君の艦娘への適性が、他の子より圧倒的に優れていたからだよ。」
──これまたストレートな物言いに、私は完全に呆れていた。
この男、持ってる情報を隠す気は無いのだろうかと、完全に疑っていた。
「……まぁ、その辺はいい。正直、ツッコミどころが多すぎて、処理に困ってるからな………」
「うん?例えば?」
「この状況全て、だ。深夜一時なのに開いてて、ほぼ満席なカフェ。提督にスカウトされてるこの状況。全て訳わかんないんだよ」
深夜にカフェが開いているというのは、夜だけバーというシチュエーションなら十分有り得るだろう。しかし、出ている商品は全てカフェのもの。そんなカフェが、深夜なのに満席。世間話をしているおばちゃんから、初々しいカップルまで。意味が分からなさすぎた。
「そりゃあ、君が少しでもいやすいようにって言う僕の気遣いだよ。ここにいる人は全員、関係者だよ外からは中の様子が見えない、マジックミラーになってるからね
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