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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 再開
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在します。織田信長は死んだのか否か。源義経はチンギスハンになったのか。後者の答えは不明であっても、前者の答えは様々なものが箱庭から観測されている」

箱庭に複数回召喚され、その全てで魔王となった異例の存在。外界の人間が生きる世界から何度も呼ばれた以上、たしかにそのifが存在している。

「しかし、このifは大きな変化を許してはいません。大きすぎる力を持ったのなら対抗馬へギフトを与えて必ず勝利させ、それでも生き残ってしまった織田信長は必ず箱庭に召喚される。箱庭から関与してでもその存在を処理する。そうまでして世界を、歴史を維持しようとする世界が……箱庭の外に妖怪も神も人間も共存する世界(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)なんて許すはずがありません」

単純すぎる答え。箱庭であればいざ知らず、神話民話の中なら語られもしよう。しかし、ただの外界でここまでのifが許されるはずもない。これが、世界のありえない点の一つ。箱庭から観測されない理由とはならないが、箱庭から観測されていない証拠にはなる。

「そしてもう一つ、この世界の異常な点。それは妖怪の成り立ち、神の歴史……一輝君の言葉を借りれば異形の存在です」

その言葉に続けて語ったのは、なんてことの無い妖怪の数々であった。彼らが語られることには、必ず意味がある。その意味を含めて、自分で調べ、晴明に確認した内容を。湖札のギフトによって語られ、射抜かれるその形を。
例えば、板鬼。大きな板に手足がはえ、刀を持たぬ武士を押し潰す妖怪。刀を佩刀していなければならないという、戒め。
例えば、火取り魔。夜道、いかに明かりを持とうとも一寸先に闇はあり、夜の眷属に満たされるという注意喚起。

「これらはすべて、人が人の都合で語った妖怪です。他の妖怪にもその成り立ちに様々な人の都合があり、湖札さんのギフトはこれを撃ち抜くことでその存在を打倒する」

つまり、それが異形の核であるのだ。どれだけ無傷であっても、存在するための核を破戒されたのなら霊格は自然と崩壊する。しかしそれは、ただ考えるだけならば当然のこと。何せ、事実そうして語られ作られた壮大な空想こそが都市伝説を、妖怪を、魔物を、霊獣を、神を生みだしたのだから。
しかし、今語っている世界は『普通』ではない。

「元々存在しており、当然のように生物としてそこにいるにもかかわらず」

犬、という生き物のことはご存じだろう。ではこの生き物の存在に人の都合はあるだろうか?現実に存在しない、認識できないものであればでっち上げられるのだろうが、確かにそこにいるのだ。その存在に対して嘘偽りを与えたとしても、根本には配置されない。
そんなありえないことが、その世界では起こっていたのである。それを言霊によって撃ち抜かれるだけで消滅してしまうほどの、根幹に
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