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本物はどちらか
第五章
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「どうやら」
「それでうちの娘にか」
「妖術をかけたわね」
「そういうことか」
「それでその妖術を使えるのはね」
「妖術師でだな」
「その妖術師の中でも」
 デリーロはさらに話した。
「その部族出身者のみよ」
「その部族の名前を言ってくれるか」
「心当たりあるのかしら」
「俺はテキサスで生まれ育ってるんだ」
 つまり土地の者だからだというのだ。
「それでな」
「テキサスのことに詳しくて」
「ああ、テキサスにいる部族のことはな」
 それこそとだ、保安官はデリーロそして彼と共にいるルイスに話した。
「知ってるぜ、そして部族の奴が街に出たらな」
「その時は」
「すぐにわかるさ、部族の奴は大抵部族の中で暮らすだろ」
「アメリカではね」
 デリーロは自分達の世界のインディアン居留地のことを思い出しつつ保安官に応えた、部族はインディアンつまりネイティブにあたり彼等は彼等で社会を構成しているのだと。
 そしてだ、保安官に応えたのだった。自分達の世界のアメリカもこの世界のアメリカもネイティブにあたる者は異質なのだと考えつつ。
「そうよね」
「それもな」
「テキサスの部族なら」
「すぐにわかるさ」
「そうなのね」
「だからな」
 保安官はデリーロにさらに話した。
「どの部族か言ってくれたらな」
「すぐになのね」
「わかるさ」
 こう言うのだった。
「今にもな」
「それじゃあね」
「ああ、言ってくれるか」
「その部族はね」
 ここでだ、デリーロは話した。するとだった。
 デリーロからその名を聞くと彼はすぐに顔を顰めさせて言った。
「モント婆さんか」
「知ってるのね」
「ああ、この街の東の端にいるな」
 保安官はその者の住所も話した。
「色々噂のある婆さんだよ」
「そうなのね」
「それも悪いな」
 噂は噂でもというのだ。
「そんな婆さんだよ」
「どんな悪い噂かしら」
「ここには若い頃から暮らしていてな」
「それでなの」
「街の違法の薬の商いの元締めでな、術もな」
「そうした術をね」
「使うってな、あの婆さんならな」
 保安官は鋭い目で述べた。
「そういうことしてていてもな」
「おかしくないのね」
「しかも俺は実はあの婆さんを昔から怪しいと思っていてな」
「今の話でよくわかるわ」
「何かと調べているんだよ」
「そのあんたへの嫌がらせね」
「そうだろうな、娘に仕掛けるとはな」
 自分自身でなくとだ、保安官はここで怒りも見せた。
「糞婆が」
「娘さんへの妖術はとんでもないね」
「嫌がらせのものか」
「妖術を解かない限り」
「ずっとそのままか」
「そしてこの嫌がらせはね」
 デリーロはさらに話した。
「あんたへの警告でしょうね、自分がやったってその
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